西野ジャパン、被災地・大阪に元気与えた…歓喜の道頓堀ダイブ

スポーツ報知
コロンビア戦に勝利し、大阪・道頓堀に飛び込むサポーター(カメラ・渡辺 了文)

 西野ジャパンの奮闘が、被災地・大阪に元気を与えた。震度6弱の大阪北部地震発生から一夜明けて迎えたサッカーW杯ロシア大会の初陣・コロンビア戦で、下馬評を覆して強敵を倒した。繁華街・道頓堀では、パーティー会場やクラブなどでパブリックビューイング(PV)が行われ、勝利決定後は雨にもかかわらず、ブルーのレプリカユニホームを着込んだ浪速のサポーターが、喜びいっぱいに練り歩いた。このほか東京・渋谷などで勝利を喜ぶ歓声が響いた。

 雨で水面(みなも)がはじかれる道頓堀川に、ダイブが何度も繰り返された。20、21歳の学生5人組は、上半身裸で飛び込んだ。5人の肌は真っ黒なヘドロで汚れたが「臭いけど、日本最高~!」と大はしゃぎ。大阪北部地震の震源地・高槻市と隣接する枚方市在住の一人は「地震? 心配ですけど…」と申し訳なさそうに肩をすくめた。戎橋は、容易な飛び込みを防ぐため2004年に欄干が高く改修されたが、W杯出場を決めた昨年8月も数人がダイブ。この日の本番初戦は、さらにダイバーが増えた。

 コーナーキックで大迫の決勝ヘッドを呼んだ本田の出身地・摂津市は、震度5強を記録。安全性を優先するため、同市は市立コミュニティプラザで開催予定だったPVイベントを中止。だが、茨木市の公共施設に設けられた避難所では、男女約10人がテレビを囲んで食い入るように見つめた。試合が終わると笑顔で喜びを分かち合った。飲食業の40代女性は、夜一人でいるのが怖くて避難所に。「よかった。ちょっとだけ地震を忘れられました」とほっとした表情を見せた。

 地震が起きた18日は大阪メトロで最多の利用客数がある御堂筋線の運行が全線で再開したのが午後9時40分。外国人観光客のなんば宿泊キャンセルも相次ぐなど、いつもの熱気が欠けていた。W杯初戦のこの日は交通網もほぼ復旧。雨ではあったが、道頓堀周辺は日頃のにぎわいを取り戻し、試合終了後の午後11時すぎには、一帯がサポーターで埋め尽くされた。

 先制点を決めた香川は神戸出身で阪神大震災を経験。香川も在籍したC大阪ファンの大阪市の大学生・畠中綾音さん(20)は道頓堀のパーティースペース「パセラリゾーツなんば道頓堀」で観戦し「きょうも大きな地震が来たらどうしようと怖かったけど、初戦を突破できてよかったです。大阪が盛り上がります」と代表から勇気をもらい、笑顔を見せていた。

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