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熊本地震から1年…ラーメン店再訪の“約束”は果たさないといけない

2017年5月12日16時0分  スポーツ報知
  • 震災から1年を経て復旧作業の進んだ熊本城

 昨年4月の熊本地震から1年後の現地の様子を取材するために、1か月前に現地へ行って来た。地震発生時も最初に震度7を記録した翌日に熊本入りしたが、到着した日の深夜に2度目の震度7が発生。その後、ほとんど何もできないまま帰京した。

 今回は、当時のもどかしさを思い出しつつ、将来に進もうとしている地元の人たちを取材したが、自分の中ではもう一つ、“使命”があった。それは「未払い金」をきちんと清算してくることだった。

 1年前の地震発生時の現地リポートでも書いたのだが、4月16日の午前1時25分に起きた本震には、市内の繁華街のラーメン店で遭遇した。ようやく宿を見付け、翌日からどう動くかを思いめぐらせながら、遅い夕食を取っている時だった。

 激しい揺れと同時に、隣の男性の丼が滑るようにテーブルから飛び出し、直後に店内の電気が全て消えた。店員の「すぐに外へ出てください!」の声で建物の外に飛び出し、そのまま避難した。ラーメン店は24時間営業だったが、翌日に様子を見に行っても従業員の姿は見当たらず。結局、お代はそのままとなってしまった。

 出張前、店が再開していることは確認していたので、「1年遅れのお支払い」をしようと足を運んだ。記憶を探りながら当時と同じものを注文し、会計の時に事情を説明すると、ちょうどその瞬間に働いていたという店員さんと話をすることができた(もちろん、お互い顔は覚えていなかったが…)。

 1年前と今回の「2回分」を払おうとする私に、店員さんは言った。「あの時は皆、火災やお客さんのケガがあったら大変だと必死でしたからね。そんなこと(未払い)は、ささいなこと。今、お金をもらう訳にもいきません。そのぶん、もう1回お店に来て頂けますか。それでいいんです」。その後、笑顔で「毎度!」と送り出してくれた。

 今回は現地の今を紹介すると同時に、将来の姿を多くの人にも見てほしいという気持ちで取材したつもりだ。その中で、何より自分自身が「また熊本に行きたい」と感じた。紙面でも紹介したが、熊本城は2年後に天守部分の外観が復元完成予定。南阿蘇鉄道は現在、漫画家有志によるラッピング列車が走っている。バスケットBリーグの熊本ヴォルターズは一歩のところでB1入りを逃したが、来シーズンは雪辱を晴らすはずだ。

 そして、ラーメン店を再び訪れるという“約束”も果たさないといけない。いつ休みを取って熊本へ行こうか…。思いを巡らせている。(記者コラム・高柳 哲人)

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