•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

前川前事務次官の座右の銘「面従腹背」は、キャリア官僚の世界で生き抜く究極の方便?

2017年7月14日16時0分  スポーツ報知
  • 文科省の前川喜平前事務次官

 スポーツ紙の記者という俗物の塊のような仕事を長く続けていると、このまま老人になっていいものだろうかと思うことがある。恐らくない物ねだりなのだろうが、高齢者と呼ばれる年齢になる前に何か精神性を高める素養を身につけたい。そんな思いで不惑を過ぎてから座禅を始めた。

 静かに座り、心を静めて無心になる―。国会議員の悪だくみも、タレントの不倫も、みんな忘れて頭を空っぽにするのだ。でも、禅寺で何度か組ませてもらったが、簡単に無心になんてなれるものではない。座っている最中にも次々と雑念が押し寄せる。蚊が止まったら叩いていいのだろうかとか、屁が出そうになったらやはり我慢すべきなのだろうか、とか次々に雑念が湧いてくる。屁を我慢していたら、意識は尻の穴にいってしまい、それこそ無心になれないのではないか。そんなくだらないことが、頭の中で巡り続ける。

 人間は本当に無心になんてなれるのだろうか。そんな疑念を抱えていたときに、意外な人が禅に関心を持っていると聞いた。加計学園問題の渦中にいる文科省の前川喜平前事務次官(62)だ。ほとんど話題になっていないが、6月23日に日本プレスセンターで開かれた記者会見で「父から受けた影響」を問われたときに「少年時代から仏教には関心を持っておりました」と答えたのだ。東大時代には仏教青年会に入り、特に関心があったのが禅仏教とのこと。

 意外に思ったのは、前川さんが座右の銘として挙げている「面従腹背(めんじゅうふくはい)」という言葉が、禅の精神に照らすと違和感を感じるからだ。広辞苑を引くと「表面は服従するように見せかけて、内心では反抗すること」とある。禅語というのはたくさんあるが、自らを省みる言葉がほとんどで、処世術的な言葉はなじまないはずだ。

 でも、仏教には「方便」という言葉もある。人を正しい方向に導くための仮の手段ということだ。前川さんにとって「面従腹背」は足の引っ張り合いが避けられないキャリア官僚の世界で生き抜くための究極の方便だったのだろうか。是非ご本人に聞いてみたい。「前川さんと禅仏教を語る会」を開催してもらえないだろうか。

 それにしても加計学園の真相を明らかにするための国会でのやりとりが、物事の本質を明らかにしていく禅問答とはほど遠いのは、残念だ。10日の閉会中審査も、せいぜい蒟蒻(こんにゃく)問答(とんちんかんな問答)であった。(記者コラム)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
コラム
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ