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与党も野党も…「昭和の選挙」からの脱却はいつになるのだろうか

2017年9月1日16時0分  スポーツ報知
  • 都議選で候補者の応援に駆けつけた小池都知事

 ここ10年ほど、地方自治体や衆参選挙を取材をしてきた。東京都の石原慎太郎知事の選挙や2009年の民主党への政権交代など、普段は見ることのできない「選挙の裏」を取材することもあった。最も劇的だったのは昨年の都知事選、7月の都議選だった。

 都知事選で自民党都連は増田寛也元総務相を推薦した。一方で、小池百合子氏は推薦を得ずに出馬に踏み切った。小池氏は温和な人柄で知られる当時の谷垣禎一幹事長に報告すると、「出馬しますか…。分かりました。でも、そんなに自民党は批判しないでね」と穏やかな口調で言われたという。幹事長とは対照的に、都連ベテラン議員らは水面下で党員や支援者らに推薦候補者以外の応援を禁じる文書を送るなど組織の締め付けを図った。無党派や保守層からも支持を受ける小池氏への警戒心からだったが、選挙戦に突入するとなりふり構わず、公然と批判を始めた。

 自民党に限らずどの政党でも選挙前から集会やパーティーを開き、支持者を集めて結束を呼び掛けている。街頭に出れば、大臣や党幹部らが集まり、動員をかけてマイクで自身の主張を繰り返す。自民党幹部や応援弁士からは不用意な発言がいくつも飛び出した。「大年増の厚化粧」に始まり、「裏切り者を許すな」「あいつは信用がない」、「女をウリにしている」…。これはいずれも数百人の前で発せられた言葉だ。集まった支持者らは「そうだ」「その通り」などとお決まりの反応で拍手で応えた。内輪だけで盛り上がり、「勝てる。勝てる」と言うものの世論とはどんどん乖離(かいり)していくばかりだった。

 ネット選挙の解禁によって、暴言などは拡散され、「裏取引」もすぐに公になるようになった。中には捏造(ねつぞう)もあるが、問題発言の人物が特定されている場合、釈明は難しい。都議選終盤には稲田朋美前防衛相の「自衛隊としてもお願いしたい」などと発言した。都連幹部は稲田氏の報道を耳にすると「逆風じゃない。これは、暴風雨だよ」とうめいた。

 「討論ができる政治家がほとんどいなくなった」。都議選後、ある若手の自民党議員はこう嘆いていた。政策を進める上での問題点を洗い出し、政策や立場の違いを認めつつも、矛盾を突きながら、相手候補者をじりじりと追い込んでいく―。たしかに、そんな場面は数えるほどしか目にしたことはない。

 選挙に負ければ、なぜ負けたのかを分析する必要もある。だが、党幹部から出てきた言葉は「気を引き締めよう」、「党内の結束を」という言葉だけだった。「大日本帝国陸軍と変わらない」。若手議員の言葉が心に残る。自民党、野党を含め、「昭和の選挙」から脱却できるのだろうか。(記者コラム)

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