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“ヘンな”証言がほぼ出てこなかった座間の事件

2017年11月3日20時58分  スポーツ報知

 神奈川県座間市のアパートで切断された9人の遺体が見つかった事件で逮捕された白石隆浩容疑者(27)。まれに見る事件なのだが、実家や、過去に住んでいたアパート周辺などで聞き込みするうちに少々不思議な感じにとらわれた。小中学校の同級生、近隣住民など周辺のほぼ全員が「幼少期の印象がない」と口をそろえるからだ。

 凶悪事件の聞き込みは何回もあるが、私の経験から言うと20~30人ほど聞けば、何かしらビックリするようなことが判明する。「●●したことで大騒ぎになったことがあった」や「夜中に不審な行動を取っていた」などの直接的なものから、「あいさつ1つしない」「いつも携帯片手にしゃべっていた」などの細かな人間的な話まで。だが、今回のケースは“ヘンな”証言がほぼ出てこなかった。

 周辺住民らの話を総合すると、白石容疑者の一家が現在の実家である一軒家に引っ越してきたのは20年前。父、母、白石容疑者、妹の4人家族だった。父は自動車メーカーに勤務。自治会でも役員などになることはなく、慎ましやかに生活していたことが伺われる。

 ただ1つ、引っかかったのは「母親が異常に無口な人だった」ということ。だが、そんな家庭は日本にゴマンといる。自分の取材が甘いのでなければ、家庭環境的には犯罪に結びつくようなものはない。

 つまりは、白石容疑者は普通過ぎる子ども時代を過ごしてきたということだろう。極めてオーソドックスな前半生だ。ここで私が恐るべきことだと思うのは「普通に生きてきた人でも凶悪事件を引き起こす可能性がある」という事実だ。逮捕される人には全て、それなりの理由がある。そのきっかけなどは今後の捜査で判明すると思うが、人生とは何だか紙一重なものなんだと実感させられたことに、何だか不安を覚えさせられる事件だった。(記者コラム・樋口 智城)

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