【有森裕子コラム】言葉を大事にすれば「炎上」なくなる

2017年9月10日12時0分  スポーツ報知

 最近、ニュースなどを見ると「失言、暴言」への謝罪が多いのが気になります。SNSで書いたことが“炎上”して話題になることも。これは、同じところに理由があると考えています。

 会話というのは、相手の表情を読みながらするもの。それが、ネット社会になって自分の感情だけをぶつける場所ができてしまった。他人を気にしないで言葉を発することができ、もし失敗した場合には「スイッチを切ってやり直せばいい」となっているのではないでしょうか。私の周辺でも、先方とメールでやり取りをしているうちに、にっちもさっちもいかず…ということがありましたが、これも相手の顔が見えないことでストレートに文章を書き過ぎてしまったことが原因だったと思っています。

 問題になりそうな発言をする時、自分に自信のある人であれば何が起こるか予知できるでしょうし、かわし方も分かるでしょう。ただ、本当に賢い人だったら、そんな言葉をそもそも発しないはずです。相手に対して丁寧でもなければ、思いやりや謙虚さもない。たとえトラブルにならなかったとしても、言葉の先に感情を持った人間がいるということを考えずに、相手を物としてしか見ないで言葉を吐くのは、気持ちいいものではありません。

 私は現在、さまざまな場所で講演をする機会をいただくことがあります。その時に、原稿を前もって用意し、それを見ながら話すということはしません。会場のお客さんを見て内容を決めています。

 また、講演の最中は客席側の照明を落とさないようにお願いをしているのですが、これも、どんな表情で私の話を聞いてくれているのか、反応を見たいから。私にとって人前で話すのは「しゃべりに行く」のではなく「会話をしに行く」という感覚なんです。

 言葉は「言霊」として人の心に強く影響するもの。大事にしようとする気持ちがあれば暴言や失言、炎上はなくなるのではないかと思います。(女子マラソン五輪メダリスト)

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