【三浦瑠麗Lullyのホンネ】流行語の中身もっと語ろう

2017年12月3日12時0分  スポーツ報知
  • 年間大賞に選ばれ「忖度まんじゅう」を手にする稲本ミノルさん

 流行語大賞が決まりました。大方の予想通り、「インスタ映え」と「忖度(そんたく)」。流行語だからしょうがないのだけれど、つまらないという感想を超えて、逆に問題だと思ったことがあります。

 「忖度」の意味って話し合ったことあるんですか、ということ。辞書的な意味の方はまさに阿吽(あうん)の呼吸で伝わってしまうこの事象を、私たちはどこまで理解しているのでしょうか。十分に話し合わないまま、ちょい笑ったあとはもう先に進もうとしている。

 「インスタ映え」もそう。インスタグラムの編集機能を駆使して、食べ物や自分の顔に人工的な光と影を足してゆく。その自己満足の塊のような行動を、「インスタ映え」という言葉でドライにまとめてあげると、少し自嘲気味ながらも盛り上がることができます。

 この2つの単語は、複雑な現実を便利に用語化してくれる、絶妙なものだったわけです。だから、この2つの言葉を聞いても、わかったような、わからないような。

 人間社会は、最近とみに分断されてきています。TVを見る人も減っていて、インターネットの動画配信や記事など、どんどん媒体が多様化していく中で、誰でも共有できるのはごく限られた有名人くらい。一発芸や今年の顔というものが求められるのは、そういった世間の側からの社会統合の欲求なのです。

 でも日本で流行(はや)っているものはそんな手っ取り早く共有して忘れ去るような消耗品ばかりというわけでもありません。消耗品から一番遠いのが長生きのクリエイター。実は、90年代からの著名人の「寿命」は長い。引退を表明された安室奈美恵さんだって、ライブ中心に活動をされて、四半世紀も人気が続いている。それはセルフ・プロデュースがうまいから。

 2000年代にネットの勢いが広まり、2010年代にはソーシャルネットワークの影響力が飛躍的に高まりました。そんな中、発信を含めセルフ・プロデュースしていける人だけが生き残って影響力を保っているのです。

 流行語大賞に選ばれた言葉を覚えるだけでは全然だめ、ということ、お分かりですよね。私たちがするべきは、その中身をとことん語り尽くすことではないでしょうか。(国際政治評論家)

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