【佐藤優コラム】プーチン氏情勢安定へ先読み発言

2018年1月28日14時0分  スポーツ報知

 11日、モスクワで行われた記者会見でロシアのプーチン大統領が朝鮮半島情勢に関して興味深い認識を示した。

 <ロシアの新聞雑誌・通信社の編集長らとの会談でプーチン氏は、新年初めの現時点での朝鮮半島情勢をどう評価するかとの質問に答え、「言うまでもなく、このゲームに金正恩氏は勝ったと私は思う。金氏は自らの戦略的課題を解決したのだ。つまり、金氏のもとには核爆弾があり、1万3000キロという世界規模の射程を持つミサイルがある。このミサイルは、事実上地球のどの地点にも到達可能で、金氏にとって想定される敵国領土のあらゆる地点にどのような場合でも届く性能を持つものだ」と述べた。/またプーチン氏は、現在金氏が「情勢を浄化し、緩和し、沈静化させる」ことに関心を持っているとして、「金氏は全くしっかりとした、既にれっきとした熟練政治家だ」とも述べた>(12日「スプートニク」日本語版)

 一般論として、脅威は能力と意思によって形成される。核攻撃能力を持った北朝鮮の意思を変化させることで、情勢を安定させることをプーチン大統領は考えている。まず、朝鮮半島における戦争を回避しなくてはならない。米朝戦争になれば、金正恩氏が破れかぶれになって核兵器を爆発させる可能性があるからだ。戦争が回避されることになれば、近未来に北朝鮮がワシントンのみならずモスクワにも到達可能な核弾頭のついたICBMを持つことが現実になる。

 そのような状況になることを想定するならば、国際社会に北朝鮮を迎え入れて、金正恩氏に体制保全のために核兵器を使用するという意思を持たないようにさせる必要があるとプーチン氏は考えているのであろう。

 インテリジェンス専門家として、先読みをした上で、プーチン氏は「言うまでもなく、このゲームに金正恩氏は勝ったと私は思う」という発言をしたのだと思われる。今、必要とされるのは、北朝鮮に対する圧力ではなく、対話と妥協だということをプーチン氏はよく理解している。(作家・元外務省主任分析官)

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