JR東日本東北・加藤、完投で全国切符「最後はさすがに疲れました」

スポーツ報知
大会最優秀選手に選ばれたJR東日本東北・加藤(中央)はチームメートに囲まれてバンザイ

◆社会人野球 日本選手権 東北最終予選最終日 ▽決勝 JR東日本東北5―1きらやか銀行(27日、石巻市民)

 決勝が行われ、JR東日本東北(宮城〈3〉)がきらやか銀行(山形)に5―1で快勝。3年連続19度目の日本選手権(11月1日開幕、京セラドーム大阪)出場を決めた。JR東日本東北は、投げては3試合連続登板となった加藤弦(22)=富士大=が6安打1失点で、今大会2度目の完投。打っては「1番・二塁」の大保優真(23)=星槎道都大=が2打点を挙げるなどルーキーが躍動した。大会最優秀選手には加藤が輝いた。

 最後の打者を捕飛に抑えると、JR東日本東北の新人右腕・加藤はマウンド上で何度もジャンプして喜びを爆発させた。チームメートが駆け寄り、歓喜の輪の中で倒される手荒い祝福もご愛嬌(あいきょう)。3試合19回を投げ抜いた加藤は「最後はさすがに疲れましたけど、優勝できて本当にうれしい」と胸を張った。

 ひと夏を越えて、若い力が大きく成長した。この日は1番に入ったルーキーの大保が3回1死三塁から右前へ先制適時打を放つなど4打数1安打2打点。「8番・右翼」で公式戦初先発した鈴木琉生(るい、19)も2安打で期待に応えた。大保は「苦しかった練習を乗り越えたことが結果になった」と笑顔で振り返った。

 苦しかった練習―。“地獄”の走り込みがナインを強くした。6月の都市対抗野球東北予選で敗退。本戦出場を逃した西村亮(あきら)監督(44)は「精神面を鍛え直す」と同月末まで、全体練習の約4時間、ひたすら走り込みを指示した。北海道出身の大保は「これまで感じたことのない暑い中、長距離か、ダッシュかは当日にならないと分からない。メニューを聞くのは怖かった」という。加藤は何も考えずに走っていたら、やる気がないように見えたようで、コーチから叱咤され「泣いちゃったこともある。最悪だったけど、それがあったから今がある」と笑った。

 3年連続で挑む舞台だが、ルーキーたちにとっては社会人初の大舞台だ。「これからは大きな目標があるから、きつい練習も乗り越えられる」と大保。再び大きく成長した姿を京セラドームで見せる。(遠藤 洋之)

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