小宮山悟氏、早大新監督に…メジャー経験者初の大学指揮官

スポーツ報知
テレビ中継の仕事を終え、球場を引き揚げる小宮山悟氏(カメラ・関口 俊明)

 東京六大学リーグの早大は5日、野球部の次期監督にOBで元ロッテ、大リーグ・メッツ投手の小宮山悟氏(52)が来年1月1日付で就任すると発表した。高橋広監督(63)が今年限りで任期満了を迎えるためで、メジャーリーグ経験者が大学野球の監督に就任するのは、日本球界で初めて。8日に開幕する秋季リーグ戦は高橋監督が指揮を執る。小宮山氏は6日に記者会見を行う。

 15年秋を最後にリーグ優勝から遠ざかる名門が、大物OBに復活を託す。メジャーリーグも経験した小宮山氏は、20年間の現役生活で通算117勝をマーク。1901年創部の早大で、プロ野球経験者が監督を務めるのは、戦後すぐの47年秋から57年の森茂雄監督(元イーグルス選手兼任監督)以来。メジャー経験者が大学野球の監督に就任するのは、早大どころか日本球界でも初めてだ。

 早大は昨秋のリーグ戦で70年ぶりの最下位(東大と同率)に沈むなど、最近は成績不振が続いていた。大学側は、高橋監督が今年12月末に任期満了を迎えるため、水面下で新監督の選任作業に着手。低迷する成績を立て直すだけではなく、高校生にとって魅力のあるチームづくりを目指す上で、若くて体力があり、情熱を持った人材を探していた。

 そこで白羽の矢が立ったのが小宮山氏だった。球界屈指の理論家としても知られる同氏は、千葉・芝浦工大柏から一般受験で2浪の末に早大に進学。高校時代は無名だったが、当時の故・石井連蔵監督に才能を見いだされ、2年秋からエースとして活躍。4年時には主将を務めた経緯もあり、母校愛の強さは人一倍だ。

 さらに、ロッテ時代の06年には早大大学院スポーツ科学研究科に入学。現役生活の傍ら、投球フォームに関するバイオメカニクスを専攻し、08年に修士号を取得している。早大野球部関係者は「メジャーまで行った男だが、その経験を買ったわけではない。大学院で理論を勉強している点を評価した」と明かした。年齢も52歳とまだ若く、11年からの4年間は特別コーチを務めた経験もある。

 来年1月に就任する次期監督を秋季リーグ戦開幕前に発表するのは異例だが、関係者は「現チームは目の前の戦いに集中できるようになるし、有力な高校3年生が、小宮山さんに指導を受けたいと進路を早大に変更するかもしれない」と説明。ナインは今秋のリーグ戦で高橋監督の有終の美を飾ることに全力を注ぐ。(片岡 泰彦)

 小宮山悟氏(ZOZOでのロッテ戦解説後、早大監督就任について)「あした会見で(話します)」

 ◆早大野球部 1901年創部。25年秋に創設された東京六大学リーグに加盟。リーグ戦通算優勝45度、同1273勝はいずれもリーグ最多。大学選手権優勝5度、明治神宮大会優勝1度。主なOBは元中日・谷沢健一、元阪神監督・岡田彰布、元巨人・仁志敏久、ソフトバンク・和田毅、ヤクルト・青木宣親、阪神・鳥谷敬、日本ハム・斎藤佑樹、巨人・重信慎之介ら多数。野球殿堂入りは初代監督の故・飛田忠順ら27人。球場、寮の所在地は西東京市東伏見。

 ◆主な元プロ選手の大学監督   

 ▼東京国際大・古葉竹識前監督(元広島内野手=現名誉監督) 08年2月に就任し、11年春に東京新大学リーグで初優勝。同年の大学選手権で4強。

 ▼慶大・大久保秀昭監督(元近鉄捕手) JX―ENEOS監督として都市対抗を3度制覇し、14年12月に就任。昨秋、今春と東京六大学リーグ2連覇。今年の大学選手権で4強。

 ▼東北福祉大・大塚光二監督(元西武外野手) 15年7月に就任し、18年の大学選手権で優勝。

 ▼慶大・江藤省三元監督(元巨人内野手) 09年12月に就任し、10年春の東京六大学リーグで優勝。11年春もV。同年の大学選手権で準V。

 ◆小宮山 悟(こみやま・さとる)1965年9月15日、千葉・柏市生まれ。52歳。芝浦工大柏から2浪して早大に進学し、リーグ戦通算20勝10敗。89年のドラフト1位でロッテに入団。97年に最優秀防御率のタイトルを獲得した。99年オフに横浜(現DeNA)に移籍。2002年にFAで米大リーグ・メッツに移籍したが、1勝も挙げられずに帰国。1年間の浪人生活を経て、04年にロッテ復帰。09年限りで現役を引退した。日米通算117勝144敗。右投右打。

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