東洋大・上茶谷、「一」に込める熱い思い…学生記者が見たドラフト候補

スポーツ報知
東洋大の“ムードメーカー”上茶谷

 プロ野球のドラフト会議が25日、都内で開かれる。スポーツ報知では東洋大学スポーツ新聞編集部(スポトウ)の協力を得て、1位指名が有力視される同大学の梅津晃大、上茶谷(かみちゃたに)大河、甲斐野(かいの)央の3投手を紹介する。1年中、密着取材する担当記者が、それぞれの選手を徹底分析。第2回はMAX151キロ右腕・上茶谷大河(4年・京都学園)。

 * * * *

 東洋大硬式野球部のメンバーから“ムードメーカー”と評価されるのが上茶谷だ。主将の中川(4年・PL学園)が「普段は面白いというか、ムードメーカーですが、野球になるとガラッと変わります」と評する右腕は今年、東都大学野球春季リーグ戦で東洋大を優勝へ導き、秋季リーグ戦でも目覚ましい活躍を見せている。

 大学ラストシーズンを前に努力が実を結んだ。3月のオープン戦で徐々に頭角を現し、好調のまま迎えた春季リーグ戦で開幕投手に抜てきされると、6安打完封という完璧な投球内容で東都に名を知らしめた。

 駒大との3回戦では東都の新記録となる1試合20奪三振を記録。春季リーグ戦を通しての奪三振数は87と、リーグ記録の歴代7位に。さらには最高殊勲選手、最優秀投手、ベストナインの3冠を達成した。それでもタイトルについて聞くと、「優勝という形にさせてくれた野手や、リードしてくれた佐藤都志也(3年・聖光学院)が、点を取られた試合でも逆転してくれた。それが優勝へつながって、結果、こういうタイトルにつながったのでみんなに感謝ですね」と自分より先に仲間への感謝を口にする。秋季リーグ戦でも開幕投手を務めると、中大1回戦で強力打線を4安打に抑え、再び完封。そして春秋通算で100奪三振を達成した。

 この成長には同期の投手の存在が欠かせなかった。特に梅津晃大(4年・仙台育英)と甲斐野央(4年・東洋大姫路)に対しては「あの2人がいなかったら今の自分はいない」と上茶谷。「梅津はお父さん、甲斐野は兄弟みたいな感じかな」と言うように、家族のような存在でもある仲間と共に切磋琢磨(せっさたくま)して実力を伸ばしてきた。

 試合後の取材にも時に身ぶり手ぶりをつけながら、丁寧に質問に答えてくれる右腕。最後に次戦への意気込みを聞くと、力強く「勝ちます」。このお決まりの一言から、いつも勝ちへの強い執念を感じる。また、取材後には時間の許す限り、観客1人1人の要望に応える姿も。この真面目な人柄も約16年間の野球生活で培われたものなのかもしれない。

 色紙に今年の一字を書いてもらった際、上茶谷が選んだのは「一」だった。背番号が11ということもあり、「1ばっかりや」と笑みを浮かべながら書いてくれた一字。一見、シンプルなこの字だが、「東都一位、日本一、全部ひっくるめて一位になりたい」という熱い思いが込められている。(スポーツ東洋・望月 優希)

 ◆上茶谷 大河(かみちゃたに・たいが)1996年8月31日生まれ、京都府出身。京都学園高を経て東洋大。今春にリーグ新記録の1試合20奪三振をマークするなど、初勝利から6勝を挙げて、一気に大ブレイクした。好きな食べ物は梅干し。181センチ、85キロ。右投げ右打ち、血液型B。

野球

×