【ドラフト連載】〈5〉BC富山の湯浅京己、元ヤクルト伊藤智監督の指導で最速151キロ才能開花

スポーツ報知
独立リーグで急成長した19歳の151キロ右腕・湯浅

 プロ野球ドラフト会議が25日に行われる。史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭の根尾昂内野手(3年)ら目玉候補が脚光を浴びる一方、確かな実力を持つ逸材や異色の選手もいる。スポーツ報知では「輝く隠れスター」と題し、7回にわたって紹介。第5回はBCリーグ・富山GRNサンダーバーズの湯浅京己(19)。

  *  *  *

 躍動感あふれるフォームから、投げ下ろすストレートは最速151キロ。BC富山の剛腕・湯浅京己(19)に熱視線が注がれる。真骨頂を見せたのが、今季最終戦となった福井との9月17日のBCリーグチャンピオンシップ第2戦(三国)だった。大一番で右腕を振り、自己最速を更新した。「調子は良くなっていた。球速は出そうだなと思っていたが、試合が終わってびっくりしました」と湯浅。ロッテ、DeNA、日本ハムなどのスカウトが見守る中、評価は急上昇した。

 どん底からはい上がった。福島の強豪・聖光学院1年の6月頃から成長痛の腰痛に襲われ、歩くのが精一杯。「何度も野球をやめて、家に帰ろうと思った。でも絶対に治ると信じて、チームのためになりたい」とマネジャーを務めた。全快した2年秋、内野手から投手に転向。3年春に138キロ、夏には145キロをマークし、潜在能力を見せつけた。

 周囲からは進学を勧められたが「野球に集中したい」と独立リーグ行きを決意。元ヤクルト投手コーチで、BC富山の伊藤智仁監督(47)と出会い、才能を開花させた。体の軸がぶれて帽子が落ちることも多かったが、伊藤監督の指導でフォームを改造。マウンドの傾斜を反対に使った“逆傾斜”の練習で、頭が前に突っ込まないように修正した。8月中旬からは指揮官と毎日、マンツーマンでミニキャンプを行い、ダッシュやシャドーピッチングで投球フォームを完成させた。

 投手に転向してわずか2年。「NPBで指名されたら、本当のスタートラインだと思っている」と湯浅。伸び盛りの19歳は、大きな可能性を秘める。(中田 康博)

 ◆安部昌彦チェック

 僕の考え方としては、実力というのは発揮するのが長期であればあるほど、信頼できる。そういう意味で、活躍しているのが今年だけというのが気になる点です。最速151キロは目を引きますが、防御率(5.72)が悪い部分をどう評価するか。MAXだけでなく平均値はどうか、ストライクゾーンでは何キロか―にも目を配る必要があります。投手で一番大事なのは、打者のタイミングを外す能力ですから。

 ◆湯浅 京己(ゆあさ・あつき)1999年7月17日、三重県生まれ。19歳。尾鷲小4年から野球を始めた。尾鷲中では内野手。BC富山では今季15試合に登板し、3勝7敗で防御率5・72。球種はスライダー、スプリット、カーブ、カットボール。183センチ、88キロ。右投右打。家族は両親。好きな投手はエンゼルス・大谷翔平。

野球

×