42歳の東大・伊藤一志、再び医師の道へ 麻酔科医辞め38歳で入部…昨年新人戦で神宮マウンド

2018年12月28日5時55分  スポーツ報知
  • 昨年4月、40歳で神宮デビューを果たした東大・伊藤

 東京六大学リーグ4年生の進路が、ほぼ出そろった。麻酔科医として勤務していた大学病院を退職し、38歳で入部した東大の伊藤一志投手は、リーグ戦の登板機会がないまま大学生活に別れを告げる。それでも、フレッシュリーグ(新人戦)ながら神宮のマウンドも経験。高校2年時からの夢だった東大野球部入りをかなえたことに満足することなく、ナックルボールに挑戦するなど4年間を戦い抜いた。来年4月からは、かつて勤務していた大学病院に再就職する予定となっている。

 12月23日。東京・文京区の東大球場では、毎年恒例の4年生送別試合が行われていた。伊藤は本職の投手ではなく、一塁手としてプレー。和やかな雰囲気の中、適時打も放った。麻酔科医として復帰予定の大学病院への配慮などから取材に応じることはなかったが、晴れやかな表情は4年間の充実ぶりをうかがわせた。

 硬球を握ったのは医大時代だけ。高校時代は野球部ですらなかった。浜田一志監督(54)は「技術や体力よりも、年齢差による他の部員とのコミュニケーション面が心配でした。でも、医者としての年収が仮に1000万円だとしたら、4年間で計4000万円。それを捨ててでも野球に没頭するんだ、という覚悟は感じましたね」と入部当時を振り返る。

 体力差を埋めるべく、ナックルボーラーに転身。3年春にはフレッシュリーグで2度登板し、三振も奪った。4年春のオープン戦では結果を残し、この試合を抑えればリーグ戦でベンチ入り―というところまで行ったというが、最後の最後で及ばなかった。

 主将だった宇佐美舜也(4年)は言う。「伊藤さんは、4年生になっても朝早く来て自主練習をしたり、最後まで野球をやりたいという気持ちが強く見えました」。東大で野球がしたいという強い思いを貫き通し、伊藤は胸を張って社会に戻っていく。(片岡 泰彦)

 ◆伊藤 一志(いとう・かずし)1976年8月19日、愛知・稲沢市生まれ。42歳。小4で軟式野球に触れる。東海高2年時に東大野球部入りの夢を抱く。医大を卒業し、31歳で医師に。関東の大学病院に勤務しながら35歳で東大文科3類に合格。3年間の休学を経て勤務先を退職し、15年に38歳で入学。現在は教育学部。171センチ、73キロ。右投右打。

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