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ヤクルト・小川泰弘 あの七夕の悔しさをバネに仕切り直しの“開幕戦”へ

2018年7月16日16時0分  スポーツ報知
  • 7月5日の広島戦が中止となり、室内練習場でキャッチボールをする小川
  • 17年7月7日の広島戦、5点差を守れなかった小川(中央)

 外は激しい雨が降っていた。時間は少しだけさかのぼるが、中日戦(ナゴヤD)の先発を2日後に控えた7月5日のマツダスタジアム。練習を終えて室内練習場から引き揚げてきたヤクルト・小川に、昨年も登板した七夕のことを覚えているか質問すると、こちらの意図を瞬時に理解し、はっきりと答えが返ってきた。

 「覚えています。もちろん」。

 球団ワーストの96敗を喫した昨年の夏。故障明けで1軍に復帰すると、チーム事情からプロ入り後初めてリリーフで起用される方針が決まった。守護神としての初登板が7月7日だったから、日付まで鮮明に覚えているのだろう。広島戦(神宮)で5点リードの9回にマウンドに上がったが、勢いにのみ込まれた。3アーチを献上し、まさかの6失点。暦の上ではロマンチックな日に、あまりに重い黒星が残った。

 「しんどいマウンドでした。苦い思い出ですね。チームに迷惑をかけてしまいましたし。クローザーの大変さも体験できましたけど、きつかった」

 今も忘れることのない悔しい記憶。一言ずつかみしめるように、ゆっくりと言葉をつないだ。その後も順風満帆ではなく、オフに右肘疲労骨折の手術を受けた。5月に1軍に帰ってくると、登板ごとに内容、結果とも安定感を増し、さすがの4勝をマーク。エースと再び呼べる投球が戻ってきた中、何の因果か今年も七夕のマウンドが巡ってきた。

 いい日にすると意気込んでも、試合が始まれば目の前の投球に集中。6回まで両軍無得点の投手戦も、7回1死二塁から福田に手痛い先制打を許した。打線の援護に恵まれず、結果的にこれが決勝打となったが、7回1失点。チームが敗れたとはいえ、十分に役割は果たした。

 チームは前半戦を8連敗で折り返し。16日のDeNA戦(横浜)から後半戦がスタートする。連敗ストッパーとして、6月の月間MVPに輝いた小川の先発が予告された。「止めたいですね、もちろん。これからが勝負と思う」。投打の歯車が再びかみ合う時を待つ今。仕切り直しの“開幕戦”から新たな逆襲が始まる。(記者コラム・田島 正登)

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