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心優しき右腕、オリックス・榊原 応援を背に、プロ初白星を

2018年9月18日8時0分  スポーツ報知
  • 初先発で5回無失点だった榊原

 担当記者としてチームに密着していると、「ファンに愛されてほしい」という思いを選手に対して抱くことがある。今年、支配下登録を勝ち取った高卒(浦和学院)2年目右腕・榊原もその一人だ。プロ初先発の9月17日・日本ハム戦(札幌D)、5回1安打無失点の好投も、降板後にチームは逆転を許しプロ初勝利はお預けとなった。好投も印象に残ったが、5回にマウンドを降りるとき、バックを守った野手に対して丁寧にお礼を言っている姿が右腕の人柄をあらわしているようだった。

 思えば、初めて彼を魅力的だと感じたのは、選手としてというよりは、その人間性。今春、宮崎キャンプでの休養日に榊原ら若手選手が宮崎市内のみなみのかぜ支援学校を訪問。ゴムボールを使った的当てゲームでは、元気に子どもたちと遊ぶ右腕の姿が印象的だった。児童の中には、大勢の視線を受ける中で緊張したのか、初めてのゲームにとまどったのか、ボールを持ったまま立ちつくす子には、目線を合わせて声を掛けながらボールの投げ方を教えていた。

 榊原が持つ優しさは生い立ちにも関係がある。父は小4のときに脳梗塞で倒れ、現在も千葉県内で入院中。そんな中、榊原を伯母が親代わりで育ててくれた。「お父さんに会えるのは年1回くらい。病気で言葉とか話すことはできないんですが、テレビは見られるので。お父さんとおばさんにその姿を見せたい」。その思いで腕を振ってきた。

 キャンプでの特別支援学校訪問では、新たな気付きもあったという。「いろんな子がいて、コミュニケーションがうまくとれない中で、どう伝えたらいいのか難しいなと。父をみてくれている看護師さんたちもそうなのかなと思いました」。野球選手として生きていく中で、いろいろなことに気付かされ、感謝の思いを募らせている。

 プロ初先発を終えると「次回、チャンスがあれば」と次回登板でのプロ初白星への意気込みを口にした。心優しい榊原が、ウィニングボールを手に笑顔を見せるシーンが、近い将来に実現することを願ってやまない。(オリックス担当・原島 海)

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