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CS打率・583 ソフトバンクのラッキーボーイ・西田哲朗が18歳だった頃

2018年10月22日19時3分  スポーツ報知
  • 楽天からドラフト2位指名された関大一・西田哲朗内野手(中)が、大阪・吹田市の同校で吹石徳一チーフスカウト(左)、中尾明生スカウト(右)から指名のあいさつを受け、感激の表情で握手。2009年10月30日撮影。

 あれ、もしかして俺一人だけ? 待てども待てども他に記者は来なかった。間もなく、仙台のテレビ局のディレクターが数名、現れた。2009年ドラフト会議から2日後の10月30日。楽天担当だった私は大阪・吹田市に向かった。お目当てはドラフト2位の関大一高・西田哲朗への指名あいさつ。初対面でいきなり驚いた。髪形がバリバリの丸坊主だったからだ。

 私は聞いた。3年生って野球部を引退するとフツー、髪をオシャレに伸ばしたくなったりするよね。すると西田は笑顔で応えた。「人と同じなのは、好きじゃないんです。気合を入れるためです」。根っからの野球小僧っぷりが、気に入った。

 高校通算37発を誇り、走攻守3拍子そろった右打ちのショート。この年、創設5年目だった楽天は野村克也監督が最後の指揮を執り、2位と躍進して球団史上初のクライマックスシリーズへと進出した。第1ステージではソフトバンクを倒し、最終ステージでは日本ハムの前に屈したものの、大きな歴史の扉を開けた。西田はCSでの激闘をテレビで見届けたと話してくれた。

 「CSを見ていて、山崎武司さんってチームを引っ張っていく姿勢がすごいと思いました。短期決戦って精神的な強さも求められると思うんです。そういう点を、見習いたいと思います」

 あれから9年。CSの「精神的な強さが求められる短期決戦」で、暴れまくる西田がいた。4試合にスタメン出場し、12打数7安打の打率5割8分3厘。バットは猛威を振るった。

 楽天では14年に131試合に出場したが、ケガにも苦しみ、なかなか結果を残せなかった。17年オフにソフトバンクへトレード。選手層の厚いチームで、工藤監督ら首脳陣の信頼を勝ち取る過程に思いを致すたび、18歳だったあの秋の快活な表情が記憶によみがえる。

 さあ、運命のドラフト。指名された金の卵のうち、1軍で活躍できる選手はほんの一握りだ。生き馬の目を抜くプロの世界で、訪れたチャンスをモノにできるか否かを分けるのは、身体能力だけではない。古くさいけれども気合とか根性とか、そんな数値化されない要素も重要なのではないか。27歳になった西田哲朗を見つめながら、思う秋である。(野球デスク・加藤 弘士)

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