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DeNAに4位指名された日大鶴ケ丘・勝又温史 160キロ剛腕伝説の始まり

2018年10月29日16時57分  スポーツ報知
  • 今夏、日大三戦で力投する日大鶴ケ丘・勝又

 思わず「オッ」と声が出た。日大鶴ケ丘の152キロ右腕、勝又温史(18)が10月25日のドラフト会議で、DeNAに4位で指名された。高校野球の西東京大会を主に取材したこの夏。灼熱(しゃくねつ)のグランドでプレーするドラフト候補に私は注目していた。春の時点で10校以上の大学スカウトを断り、プロ入りを熱望。勝又は「(指名を)待っている間はドキドキしたけど、率直にうれしい。本番が始まるなという気持ち」と喜びを表した。

 プロ入りまで全国大会は未経験。だが並はずれた能力に疑いは無い。入学時、173センチ69キロと細身ながら直球は136キロ。肩甲骨が柔らかく、腕を思い切り振ることができる才能を見抜いた萩生田博美監督(45)は、2年秋まで体作りを優先し、主に外野手として起用した。1年秋からの早朝6時の10キロ走をはじめ、スクワットなどで下半身を強化。食事も朝から白米3合を食べる。2年夏に球速は147キロ。3年春には180センチ、76キロと成長し、152キロを投げる投手になった。

 初めてエース番号をつけた2年秋の都大会予選決勝、早実戦。途中登板したが直球の制球が定まらず、四球から失点。独り相撲の投球になり、逆転負けした。これを機に制球力を磨き、変化球の習得にも力を入れた。「0点か100点かの投球から、70点の投球ができるようになった」と監督が信頼する投手になった。

 夢の舞台となったのは、今年の西東京大会決勝、日大三戦。小学6年の時、神宮球場で日大三―日大鶴ケ丘の西東京大会決勝を観戦した。西東京を制した日大三ナインを見て憧れたが、奮闘する日大鶴ケ丘ナインも輝いて見えた。「日大鶴ケ丘に入って、日大三を西東京の決勝で倒したい」と思い描いた。そして高校最後の夏で先発した、決勝のマウンド。大会中熱中症に苦しんだが、思い切り腕を振った。150キロを超える直球と、ひと冬鍛えたカットボールで、夏の甲子園4強の日大三打線相手に10奪三振と力投。最後は日大三の4番、大塚晃平にサヨナラ本塁打を打たれ燃え尽きたが、小学6年生の時に描いた夢の、あと一歩まで迫った。

 成長曲線は、まだ先が見えていない。打っても高校通算30本塁打と、野球のセンスはピカイチ。下半身こそスクワットなどの自重トレーニングで強化してきたが、ウエイトトレーニングはなし。「筋力がつけば155キロは投げると思います」と萩生田監督も言う。夏の大会前「神宮で155キロ出したい」と語っていたが、今では「プロになるので、160キロ」と上方修正した。「自分の持ち味の、強い球と遠くに飛ばす力、何より野球を楽しむということを武器に頑張りたい」とプロでの活躍を描く。ハマの剛腕ルーキーの活躍が、今から楽しみだ。(大谷 翔太)

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