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未勝利に終わった1年目 阪神・馬場の転機となったあの夜

2018年12月5日14時20分  スポーツ報知
  • 1年目を未勝利で終えた阪神・馬場

 2018年12月3日。真新しい縦じまのユニホームに、阪神の新人7選手が袖を通した。大阪市内で新入団発表会見を行い、大阪ガスからドラフト1位で入団した近本光司外野手(24)から順番に、初々しく所信表明した。

 ちょうど1年前だった。同じように無数のフラッシュを浴びた、ある選手を思い浮かべた。17年のドラフト1位・馬場皐輔投手(23)。最速155キロの直球と、多彩な変化球をセールスポイントに即戦力として期待され、エース番号「18」を背負った。しかし、今季は1軍で2試合のみの登板。0勝1敗、防御率5・19に終わった。

 馬場にとって忘れられない試合がある。プロ2度目の先発となった8月12日のDeNA戦(横浜)。3回途中7安打3四死球4失点でKOされ、プロ初黒星を喫した。「全く寝られなかったです。一睡も出来ませんでした」と明かしたのは3日後。炎天下の兵庫・鳴尾浜だった。試合後、食事もそこそこに部屋に戻ったが、眠りにつくことができなかった。「寝れなかったのもあって、朝一番の新幹線でこっちに戻ってきました」。チーム宿舎のある新横浜を6時過ぎに出る始発の新幹線に乗るため、朝5時には宿舎を出た。宿舎と駅はおよそ10分弱。「正直、そんなに早く出なくても…」と思ったが、裏を返せば、それくらい悔しくやるせない思いだったのだろう。

 その敗戦から、馬場は改めて自分を見つめ直したという。「自分は変化球投手です」と繰り返していたが、夏場以降は「直球あっての変化球」と考え方を見直した。2軍ではあるが、徐々に成果は表れ、巨人とのファーム日本選手権では3回無安打無失点。優秀選手賞も獲得した。11月の秋季キャンプでも直球に磨きをかけ続けた。そのキャンプ中に行われたシート打撃に登板し、18打席連続で安打を許さなかった。矢野監督は「真っすぐを頑張ろうとして投げている。シート(打撃)であんなに声出すやつおれへん」と目尻を下げた。憧れの投手であるヤンキース・田中ばりの“ほえる”スタイルも戻ってきた。

 「2軍の最初の試合も打たれちゃって。最初どうなるのかなと思ったけど、そこから抑えられるようになった。一つ一つ勉強して、1軍で勝てる投手になりたい」。来季、まず1勝。眠れぬ夜を味わった経験は絶対に生きてくる。(記者コラム・長尾隆広)

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