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西武の「考える山川」高校の授業で生まれた「?」をつける論理的思考

2018年12月19日10時0分  スポーツ報知
  • 子供たちの前でバッティングを披露する山川

 オフと言えば野球教室。子どもたちが集まる視線の先に、“山川先生”はいた。ちびっ子たちがおなかをポヨポヨ触る―。愛嬌(あいきょう)あるルックス…だけに引き込まれているのではない。山川は自分の打撃論だけでなくエンゼルスの大谷やソフトバンクの柳田を例に出し、一人ひとりに合ったアドバイスを送る。「教え方がうますぎる…」とこぼす少年野球の監督も。そんな姿に子どもたちはとりこになっていた。

 小学生の頃、授業中に先生から「その問題が解けた人は近くの分からない子に説明して教えてあげなさい」なんて言われたこともあったような…。自分の中で理解できていないと、他人にうまく説明できない―ということだ。だから山川の教え方のうまさには納得した。

 常日頃から、ロジカル・シンキングがすごい。「どうして打てた、打てない。なぜ今、あの選手は打てるのか、打てないのか」。朝起きてから寝るまで、車のハンドルを握る時も常に考え続け、練習で試行錯誤を繰り返す。

 山川の論理的思考は、いつ、どこで生まれたのか―。答えは高校(沖縄・中部商)の体育の授業だった。

 「物事の全てに『?』を付けなさい。『あの選手、すげーな』で終わるんじゃなくて、『なぜすごいのか?』と『?』を付ければ、その人をしっかり見るようになる。『あの人はすげえ、天才だから』でなく、そこに『?』を付ければ、見方や考え方が変わるはず」

 陸上部顧問の教師に言われたこの言葉が、今の山川穂高を形成している。「みんな、ちゃんと先生の話を聞かない。でも俺は聞いていた。絶対生きると思ったんだ。その話を聞いてから、人の練習をしっかり見ると、時間がいくらあっても足りなくなった」。ホームランについて考える時間、それさえも大好きになった。

 この話をしてくれた9月12日の時点では37本塁打で残り19試合。8月下旬からグッとペースダウンしていた。その日の食事の帰り際。タクシーに乗り込む山川は「こっからバンバン打って、次のソフトバンクとの頂上決戦でまず40本超えるから見とき!」と笑顔で言い放った。ソフトバンクとの3連戦を含むその後5試合で5発。見事に有言実行―。キングの47本塁打へたどりついたのは「24時間365日」ホームランのことを考え続けていたからだ。

 子どもたちに伝えたい。「考える山川」を生んだのは、授業中だったよ―と。(小林 圭太)

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