【南北海道】映画「青空エール」モデル校・札幌白石、エース村上の完封で8年ぶり切符

スポーツ報知
5安打完封した札幌白石・村上

 南北海道大会の札幌、室蘭など5地区で代表決定戦が行われた。札幌地区は、札幌白石が4―0でシードの札幌国際情報を下し、8年ぶり3度目の南大会出場を決めた。エースの村上航主将(3年)が6安打5奪三振で完封。3試合計27イニングを一人で投げ抜き、代表決定戦で力尽きた昨夏の悔しさを晴らした。今春の全道王者・札幌第一は、札幌啓北商に6―0で完封勝ち。室蘭地区では道大谷室蘭が苫小牧南に7―0で快勝し、5年ぶり32度目の代表権をつかんだ。空知地区では昨夏の甲子園出場校・滝川西が2回戦で敗退した。

 1年前に涙をのんだ同じ場所で、最高の笑顔がはじけた。札幌白石のエース・村上のもとにナインが駆け寄り、体をぶつけ合って喜んだ。「秋、春とコールド負けして、夏に向けてやってきた。めちゃくちゃうれしい」。5安打完封でチームを8年ぶりの南大会に導き、明るい声が弾んだ。

 2年生だった昨夏も3連投し、2試合で333球を投じ、疲労は限界だった。代表決定戦で恵庭北に6―8で敗戦。あと一歩及ばず、泣き崩れた。「あそこで、『必ず南大会に行こう』という目標を立てた。あの負けがあって今がある」。主将という重責も新たに背負い、最後の一年が始まった。

 強い決意を胸に始動したが、秋は札幌第一に1―15、今春は札幌琴似工に5―12とたたきのめされた。「自分の投球に精いっぱいで周りが見えてなかった。バックに任せて粘るようにした」。独り相撲だった投球スタイルは消え、先頭打者の打球を失策した林涼太遊撃手(3年)にも、笑顔で「大丈夫」と声を掛けた。打たせて取る投球に加え、冬場の走り込みも実り、今夏は全3試合27イニング、395球を一人で投げ抜いたものの、「まだまだ投げられますね」と涼しげに笑った。

 同校は2016年に映画化された青春漫画「青空エール」のモデル校。ピンチでマウンドに集まれば、自ら発案し、映画のテーマ「一心不乱」という言葉を掛け合った。南大会からは、ついに吹奏楽部の応援が決定。「あの応援の中でプレーしたい。試合までに映画も見て、イメージを膨らませます」。原作通り、主人公のキャプテンが最後の夏に聖地を踏む。(宮崎 亮太)

 ◆「青空エール」 河原和音原作の青春漫画。高校1年生のヒロイン・小野つばさは、甲子園で野球部を応援する吹奏楽部に憧れ、名門・札幌市立白翔(しらと)高校の吹奏楽部に入部。何度も挫折しそうになるが、同じクラスの野球部員・山田大介に励まされながら、トランペット奏者として成長していく。2008年から15年に「別冊マーガレット」に連載され、16年8月に竹内涼真(25)、土屋太鳳(23)のダブル主演で映画化された。

 ◆村上 航(むらかみ・わたる)2000年11月1日、札幌市生まれ。17歳。小学3年の時に白石ジュニアフェニックスで野球を始める。札幌柏丘中2年では全国大会に出場(初戦敗退)。札幌白石では1年夏から背番号15でベンチ入り。172センチ、69キロ。右投右打。家族は両親と姉。

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