サーファー135キロ腕・相川、調子に波の弱点克服で館山総合を波乗せる

スポーツ報知
袖ヶ浦高校との練習試合で登板した館山総合・相川

 各地の注目選手紹介。館山総合(東千葉)の相川亮太(3年)は、部員わずか17人の無名県立校を投打で引っ張る好素材だ。

 真夏の浜辺を思わせる熱砂のマウンド。千葉・房総半島の南端に位置する館山総合のグラウンドで、プロ注目の183センチ左腕・相川が腕を振っていた。リーチは長く、ムチのような腕のしなりは唯一無二の持ち味だ。「9回2死満塁でフルカウントなら、絶対にストレートを投げます」と自信を寄せる直球の最速は135キロ。しかし、球速以上にキレを打者へと感じさせる。

 柔らかい腕の振りを生み出したのは、実家から目と鼻の先にある南房総の海だ。「水をかく動作が腕のしなやかな振りと、ストレートのノビにつながった」。中学時代、学校があるときは2日に1度、夏休みは毎日海でサーフィンをしていたほどの海男。館山総合に入ってからは野球に専念し、海で遊ぶことはなくなった。しかし、同校の海洋科に通い、海の勉強は欠かさない。

 調子に波がある弱点も克服した。高田将大監督(24)は「以前はすごい気分屋でした」と振り返るが、気分の波も穏やかになった。相川の意識を変えたのは部に3人いる3年生の助っ人部員だ。2年生部員がおらず、今春の県大会出場のため急きょ部員をこしらえた。「途中入部の助っ人たちが、ひたむきに練習する姿を見たからですかね。3年になって明らかに変わりました」と指揮官は語る。

 一躍、注目を浴びるきっかけとなったのは昨秋の県大会。ドラフト候補の清宮虎多朗(せいみや・こたろう)投手(3年)を擁する八千代松陰と対戦し、延長12回にサヨナラ負けを喫すも、3失点で完投した。私立強豪校と渡り合ったが、未来への羅針盤は野球だけに向いていない。今後の進路は定まっておらず「ずっと迷い続けている」状態だ。

 最後の野球になるかもしれない夏の東千葉大会へ「高校で全てを出し切りたい。過去最高のベスト16はいきたい」とサウスポー。高校野球最後の“荒波”に挑む。(増田 寛)

 ◆相川 亮太(あいかわ・りょうた)2000年7月13日、千葉・南房総市生まれ。17歳。小3から千倉ロイヤルズで軟式野球を始める。千倉中でも軟式。館山総合では1年秋からベンチ入り。2年秋から背番号1。50メートル走6秒2。球種は縦横2種類のスライダー、カーブ、チェンジアップ。183センチ、76キロ。左投左打。家族は両親と兄、姉。実家はラーメン店「龍神」で「うま辛みそラーメンがオススメです」。

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