【南北海道】駒大苫小牧、劇勝!9回2死三塁でセーフティーバント ノーサインで決めた!

スポーツ報知
2死三塁から決勝のセーフティーバントを決める駒大苫小牧・大槻

◆第100回全国高校野球選手権記念南北海道大会 ▽1回戦 駒大苫小牧3―2札幌白石(17日・札幌円山)

 南北海道大会は、今春のセンバツに出場した駒大苫小牧が札幌白石に3―2で辛勝した。同点の9回2死三塁で主将の大槻龍城二塁手(3年)がセーフティーバント。これが決勝点となり、春夏連続甲子園へ冷や汗発進となった。

 豪快に土煙を上げて、頭から一塁に滑り込んだ。2―2の9回2死三塁。駒大苫小牧・大槻が相手の意表を突くセーフティーバント。50メートル6秒の俊足を飛ばし、タッチの差で決勝点を生み出すと、ベンチに向かって雄たけびを上げた。「(8回の)失点は自分のミスから。どうしても点が欲しかった。必死で、ベースしか見てなかった」。難しい南大会の初戦。苦戦するチームを、頼れるキャプテンが救った。

 身長160センチの小さな体に、底知れぬ度胸を秘める。打席の直前。札幌白石・宇川が足をつり、6分の中断を挟んだ。緊迫した場面にも頭は冷静だった。「最初は逆方向を意識していた」と打ち気になっていたが、相手の守備位置が深いと見ると、「可能性が高いのはバント」と思い切った。勝利を引き寄せる好判断に、佐々木孝介監督(31)も「サインではない。すごいなと思って見てました」と驚きを隠せなかった。

 昔から大の負けず嫌いで、肝っ玉がすわっていた。2学年上で同校OBの兄・龍正さん(19)の背中を追いかけ入学したが、8番をつけた1年秋は地区予選で敗退。翌年の正月、自宅に集まった時に兄が「駒苫の名前に泥を塗った」と殴りかかった。それでも「俺の時は甲子園に行ってやる。今に見てろ」と臆することはなかった。負けん気の強さを大一番でも発揮し、母の奈緒美さん(47)は「今日のようなガッツポーズは見たことがない。それだけ頑張ってきたのかと思うと、ぐっと来た」と涙ぐんだ。

 次戦は4強を懸け、南大会3連覇中の北海と対戦する。「チームの勝利が一番。一球一球に気持ちを込めて戦いたい」と大槻。ガッツあふれるプレーで、チームの原動力になる。(宮崎 亮太)

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