【岡山】倉敷、希望の灯り 引地13K完投&サヨナラ打

スポーツ報知
9回1死二塁、サヨナラ打を放ちナインに迎えられる倉敷商・引地(手前中央=カメラ・谷口 健二)

◆第100回全国高校野球選手権記念岡山大会 ▽2回戦 倉敷商2x―1岡山南(17日・倉敷マスカット)

 何度も右手を突き上げた。1―1の9回1死二塁、倉敷商の6番・引地が「自分が決めるしかない」と中越えにサヨナラ二塁打。打っては2安打1打点、投げては3安打1失点13奪三振。8球団が視察し、巨人の岡崎スカウト部長は「高校生であのスライダーは打てない。高校生では一番いい投手」と絶賛した。

 絶叫しながら、8、9回はすべて三振でアウトを奪い「絶対に点をやるわけにはいかなかった」。1月に死去したOBの星野仙一さん(享年70)をほうふつとさせた。最速151キロ右腕は「倉敷商の名を全国に広めてくださった偉大な方。強気に攻めることは参考にしている」と、天国に白星をささげた。

 倉敷市加須山の下宿は、西日本豪雨による浸水はなかったが「周りは湖みたいになった。家がポツンと浮いているみたいな感じ」。2日間は自転車で学校に行けず、練習が中止に。真備町にある平田隼夏(しゅんか、3年)の実家は1階が浸水した。

 平田は悲しみを顔に出さず、伝令役を務めた。引地は「家が被災したのに、先生や(森光淳郎)監督のモノマネを(伝令時に)して笑わせてくれた」と感謝し「甲子園に行って、被災地に元気を与えられたら」と力を込めた。6年ぶりの甲子園へ、倉敷に希望の灯をともす。(伊井 亮一)

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