【北北海道】旭川大高、夏一番切符!9年ぶり甲子園

スポーツ報知
100回大会の甲子園切符をつかみ、ガッツポーズの旭川大高ナイン

◆第100回全国高校野球選手権記念北北海道大会 ▽決勝旭川大高5―3クラーク(21日・旭川スタルヒン)

 決勝戦が行われ、旭川大高が5―3でクラークを破り、9年ぶり8度目の優勝を決めた。2―2で迎えた8回に3番・菅原礼央(れお)遊撃手(3年)の右前適時打など4連打で3点を奪取。エース・沼田翔平(3年)が強力打線を3失点で食い止めた。昨春から丸刈りを禁止にするなど意識改革。パワーよりスピードと柔軟性を求めた練習も実を結び、記念の第100回大会で全国第1号の甲子園切符をつかみ取った。

 何の迷いもなく、思い切りバットを振った。8回表、無死二塁。状況を考えれば手堅く送る手もあるが、菅原に出たサインは「打て」。3球目の直球を右翼線にはじき返し、思惑通り、勝ち越しの走者を迎え入れた。「実はバントが苦手なんで…。気が楽になって打てました」。この回4連打で大きな3得点、最後はエース沼田が1失点でしのぎゲームセット。曇り空に歓喜の雄たけびが上がった。

 9年ぶりの甲子園切符。端場雅治監督(49)は「長かった」と、感無量の表情でつぶやいた。過去に7度の甲子園出場を果たした古豪だが、2009年を最後にトンネルへ突入。甲子園どころか、地区予選で敗退する悔しさを何度も味わった。「何か変化のきっかけが必要だった」。その一つが、昨春発令した「丸刈り禁止」だ。試合に負ければ「髪の毛を伸ばしているから」と周囲から言われかねない。つまり「勝たなければならない」という圧力で意識改革した。青木亮樹主将は「私生活も含めて責任感を強めるきっかけになった」と言う。

 ベンチ入り18人の平均体重は、クラークの73・6キロに対し、66・7キロ。体格では見劣りした。だが、チームが追い求めてきたのはパワーではない。同校で97年の甲子園に出場した山本博幸部長(38)が、国学院大で学んだトレーニング理論を元に体づくりを担当。「体重を増やしても筋肉をつけても、柔軟性とスピードがなければ力を発揮できない」とウェートトレーニングより、10~20メートル走や筋肉を柔らかくする練習を重視した。決勝打の菅原は「1年時に比べると、体のキレがかなり良くなった」と大事な場面で結実した。

 沼田、楠茂将太ら140キロ超えの4投手を擁し、継投で勝ち上がった。準決勝では昨秋と今春の地区予選で敗れた旭川実に9回サヨナラ勝ち。そして最後は、3試合で36得点をたたき出してきたクラークを粉砕した。「負けることが想像できなかった」と端場監督。「勝てない時代に入ってきてくれた子たちと100回大会の甲子園に行ける。これからがまた大変です」。成長を実感しつつ、なおも戦い方改革を進めて聖地へと乗り込む。(石井 睦)

 ◆旭川大高 1898年(明治31年)に旭川裁縫専門学校として開校した私立校。1968年から北日本学院大高に校名変更、70年から現校名に。生徒数は257人(女子200人)。住所は旭川市永山7条16丁目。野球部は64年創部。部員数は62人。夏の甲子園に過去7度出場し、80年の3回戦進出が最高。主なOBはリオ五輪女子柔道銅メダルの山部佳苗、北京五輪陸上400メートルリレー銀メダルの高平慎士、大相撲前頭の旭大星ら。

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