【京都】立命館宇治V打の中村「めっちゃしんどかった」高校生なのに22時37分まで試合

スポーツ報知
立命館宇治は延長11回の激闘の末に勝利し、ナインが笑顔で整列する(カメラ・谷口 健二)

◆第100回全国高校野球選手権記念 ▽準々決勝 立命館宇治6―5鳥羽=延長11回=(23日・わかさ)

 準々決勝4試合が行われた京都は、気温が上昇する時間帯に3時間の“昼休み”を設け、第3、第4試合の開始時間を繰り下げた。第4試合の鳥羽―立命館宇治は午後7時1分開始のナイターで、延長11回の熱戦。午後10時37分終了という高校野球では異例の事態となった。第1試合では、龍谷大平安が今春センバツ出場の乙訓(おとくに)に5回コールド勝ち。1993年から母校を率いる原田英彦監督(58)がディズニーのセリフにちなんで「お前ら最高だぜ~」と叫ぶ“儀式”で、2年連続の4強入りを決めた。南埼玉の浦和学院など4校の甲子園出場が決定。24日は5大会で決勝が行われる。

 立命館宇治の大住優賀捕手(3年)が捕邪飛をつかんだ瞬間、わかさスタジアムの時計は午後10時37分を指していた。午後7時1分に始まった準々決勝の第4試合は延長11回、3時間36分の激闘だった。「こんなに遅くなるとは思っていなかった。うちの子は、10時半に野球をしているという経験がないので、すごく心配だった。僕も集中力が徐々に…という感じだった」。里井祥吾監督(35)はぐったりした表情だった。

 午後10時30分の延長11回2死一、二塁で決勝の右前適時打を放った中村滉成外野手(2年)は午前7時半に起床した。「率直に言うと、めっちゃしんどかった。気付けば10時を過ぎていた。ほんまに決めようと思った」と疲労感をにじませた。

 この日の京都大会は、酷暑対策として、異例の“昼休み”を導入した。第2試合終了後に約3時間の休憩。当初は第3試合が午後1時30分、第4試合が午後4時の予定だったが、京都府高野連は21日に、それぞれ2時間半遅らせることを発表。この日は第2試合が午後1時7分に終了し、第3試合は午後4時5分に開始された。

 その猛暑対策の裏返しで、夜遅い試合に。午後11時を過ぎれば、24日の午後4時から再試合を行う予定だったという。日本高野連に意向を報告して再試合の方針を取り決めた後に、幸いにも試合が決着した。府高野連の井上明理事長(60)は、第4試合前に「(わかさは)ナイターを使えるし、過去では、午後2~3時の時間帯に選手や観客が一番、倒れる」と“昼休み”効果を説明した。だが、試合後は「想定はしていたが(実際に試合が深夜に及びかけて)非常に怖かった。遺恨が残らなくてよかった」と疲れ切った表情で取材に対応した。

 京都府の条例では、18歳未満は午後11時以降の外出が原則、禁止されている。8回終了後の午後9時50分頃には、保護者や引率者がいない高校生に帰宅を促すアナウンスが流れた。それでも、里井監督は「日中にこれだけの(長い)試合をしたら倒れていた。配慮(昼休み)はお互いに助かった」と感謝した。

 試合が行われていない午後3時に最高38度を記録した京都市の気温は、午後10時を過ぎて30度に下がっていた。(伊井 亮一)

 ◆試合終了が遅かったケース 昨年4月27日の春季東京都大会、清宮(現日本ハム)がいた早実と日大三の決勝戦(神宮)がナイター開催で午後10時6分終了。甲子園大会では1968年8月9日の津久見・高岡商戦が午後9時27分に終了した例がある。

 ◆京都府「青少年の健全な育成に関する条例」第18条の2(深夜外出の制限)

 保護者の委託を受け、若しくは同意を得た場合又は深夜における勤務、緊急を要する特別な事情その他の正当な理由がある場合を除き、深夜(午後11時から翌日の午前4時)に青少年を、その居所から連れ出し、その居所以外の場所において同伴し、又はその居所以外の場所にとどめてはならない。

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