【石川】星稜・奥川、全5試合無失点の“完全V”大量援護にも気持ち切らさず「自分との戦いでした」

スポーツ報知
9回を3安打無失点に抑えた星稜・奥川

◆第100回全国高校野球選手権記念石川大会▽決勝 星稜22―0金沢学院(25日・石川県立)

 侍ジャパン高校代表候補の147キロ右腕・奥川恭伸(2年)が3安打完封。全5試合無失点の“完全V”で春夏連続の甲子園切符をつかんだ。

 星稜のスコアボードに次々と得点が刻まれても、奥川は淡々とゼロを並べ続けた。「すごい援護で、打つ方が目立っていましたけど、僕は完封を課題に投げました。自分との戦いでした」。大量リードにも隙を見せず、3安打8奪三振で完封。チームの大会全5試合無失点優勝に貢献した。

 クールさを貫いた。南保、竹谷のアーチ攻勢など歴史的猛打でワンサイドゲームだっただけに「あまり実感がわかない。甲子園に乗り込んだら、アドレナリンが出てくるんだと思います」。唯一のピンチだった7回1死満塁では、狙い通りの遊ゴロ併殺打で切り抜けたが「もっと低めに投げないと。甲子園までに修正する。きょうは50点くらいです」と厳しかった。

 背番号1で臨んだ今夏は、課題としていたスタミナ不足の改善に取り組んだ。同校グラウンド脇の急勾配の坂などで走り込みを重ねた。フリー打撃では、積極的に打撃投手を買って出た。投げ込みと体力強化を兼ねて味方に快速球を投げ込んだことで、打撃陣の強化につながるという副産物も得た。

 1日の大垣日大(岐阜)との練習試合では、完投目前の9回に146キロをマーク。大会前最後の実戦となった8日の富山工戦では、5回を無安打無失点。完璧な状態でこの大会に臨んでいた。この日も、スピードガン表示が辛いとの定評がある石川県立野球で最速145キロを計測。「狙える場面があれば、1度くらいは150キロを出してみたい」と、甲子園での大台到達にも意欲を見せた。

 先月には、2年生ながら侍ジャパンの高校代表候補に名を連ねた。代表入りに向け、甲子園は格好のアピールの舞台となるが「そういう欲を出すと、結果が付いてこない。チームの目標である全国制覇のために、自分の納得のいく投球で貢献したい」。第100回を迎える記念大会。頼もしい2年生エースが、石川に深紅の大優勝旗をもたらす。(竹内 竜也)

 ◆奥川 恭伸(おくがわ・やすのぶ)2001年4月16日、石川・かほく市生まれ。17歳。宇ノ気小2年で野球を始め、内野手兼投手。宇ノ気中1年冬から投手に専念し、3年時に全国中学校軟式大会優勝。星稜高では1年春の北信越大会で公式戦初登板。1年秋の北信越大会では背番号1。今春のセンバツは背番号11で投打に活躍し、8強進出に貢献。182センチ、85キロ。右投右打。家族は両親と兄。

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