【西千葉】中央学院が初V 大谷、打球直撃頭蓋骨骨折から2か月奇跡のカムバックで決勝弾

スポーツ報知
夏の甲子園初出場を決めて胴上げされる中央学院・大谷(カメラ・矢口 亨)

◆第100回全国高校野球選手権記念西千葉大会▽決勝 中央学院6―2東京学館浦安(26日・ZOZOマリン)

 全国6大会で決勝が行われ、西千葉では投打にプロ注目の中央学院の4番・大谷拓海(3年)が決勝ソロを放ち、センバツに続いて夏は初の甲子園出場に導いた。5月下旬に打球を受けて頭蓋骨骨折などの重傷を負ったが、今大会中にぶっつけ本番で実戦復帰。大一番で勝負強さを発揮した。

 満面の笑みで3度、宙に舞った。ナインの手でゆっくりと、慎重に抱えられた大谷は「素直にうれしい。この舞台で勝って、みんなを喜ばせたいと思っていた」。大けがから復帰し、夏の甲子園初出場へと導いた大黒柱は、照れくさそうに汗を拭った。

 ぶっつけ本番でも、天性の打撃センスを見せつけた。初回2死二塁から、先制の中前適時打。同点の4回1死からは弾丸ライナーで、右翼席へ今夏1号の決勝ソロだ。決勝までの3試合で11打数2安打と苦しんだが、大一番で高校通算33号をマーク。ロッテ・永野チーフスカウトも「しっかり(軸を)残して回転で打てていた」と評価した。

 奇跡のカムバックだ。5月26日の練習試合で登板した際に、ライナーが右側頭部を直撃。手術は免れたが約1週間入院し、絶対安静の状態だった。診断は「脳挫傷」「頭蓋骨骨折」「軽度の外傷性くも膜下出血」の重傷。それでも右腕は前向きだった。「体重を増やして、パワーアップして戻りたいと思っていた」

 練習再開は6月27日。担当医の許可が出て実戦復帰した19日の4回戦(対八千代東)では5打数1安打3三振。それでも、22日の準々決勝(対八千代)では「4番・投手」で先発し“二刀流”を解禁した。「状態はまだ80%以下。バッティングの感覚がズレていたので、練習でバットの芯に当てることを心掛けてきた」。試合を重ねるごとに、本来の姿を取り戻してきた。

 さあ、春のリベンジだ。「1番・投手」で臨んだ明徳義塾(高知)戦では、逆転サヨナラ3ランを浴びて初戦敗退。「自分のバッティングでチームに恩返しをしたい。投げたい気持ちもある」。春に成し得なかった「本塁打」「150キロ」「1勝」を目指し、万全の準備を整える。(青柳 明)

 ◆大谷 拓海(おおたに・たくみ)2000年7月13日、茨城・牛久市生まれ。18歳。小学2年から野球を始め、千葉・滝野中では船橋シニアに所属して全国大会に出場。高校では1年春から「3番・右翼」のレギュラーで、同秋はエースとして関東大会8強入り。昨秋は県大会準優勝、関東大会優勝。最速145キロで、持ち球はスライダー、フォーク、カーブ。180センチ、77キロ。右投左打。遠投105メートル、50メートル走は6秒1。

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