悔しさから君は絶対強くなる…「バトルスタディーズ」なきぼくろ氏観戦記

2018年8月7日8時55分  スポーツ報知
  • 甲子園のスタンドで観戦する、なきぼくろ氏(右)

 ◆第100回全国高校野球選手権記念大会 ▽1回戦 佐久長聖5-4旭川大高=延長14回タイブレーク=(6日・甲子園)

 PL学園(大阪)の硬式野球部出身で週刊「モーニング」(講談社)で人気野球漫画「バトルスタディーズ」を連載している漫画家・なきぼくろ氏(32)が6日、高校時代の恩師・藤原弘介監督(44)が指揮を執る佐久長聖の試合を観戦。思い出の甲子園から観戦記を寄せた。(構成・楢崎 豊)

 えっ!? こんなことって起きるんですね。佐久長聖が1点ビハインドの8回、三塁側スタンドからPL学園でよく使用していた応援歌「ウイニング」が演奏されると、流れがやってきました。藤原監督が移られてから、佐久長聖の吹奏楽部が演奏してくれているんです。2死一、二塁。4番の西藤君の打球は左飛かと思いましたが、ボールと西日が重なり、左翼手が落球して逆転しました。

 試合は初のタイブレークで決着。心臓が飛び出そうになりましたが、恩師の勝利を見ることができました。

 中1だった20年前、横浜―PL学園の延長17回の激闘を見て「僕もあの強いPLのユニホームで甲子園に出る」と決意しました。高3だった03年。小窪哲也(現広島)らと夏の甲子園に出場できましたが、2回戦で福井商に敗戦。僕は2試合で6打数無安打。「恥をかいた」記憶となって残り、ここにはいい思い出がありませんでした。

 卒業後、藤原監督に不振だった自分をなぜ使ってくれたかを聞くと「実力は1学年下の選手の方があったけど、お前は出さないとアカンやつだった」と言われました。大きな勘違いだったのかもしれませんが、僕は社会に出ても一線で活躍する人間にならないといけない、と解釈しました。監督の一言のおかげで今の仕事ができています。思い出すことも嫌だった甲子園が、大切な場所となりました。

 100回大会にPLの名はありませんが、今はちょっと休んでいるだけ。どんな復活劇を見せてくれるのかとワクワクしています。それを信じて僕は今、「バトルスタディーズ」を描いています。強いPLが復活したら、大阪桐蔭とどんな試合をするんだろう―と思いながらペンを走らせたい。

 最後にひとつだけ。8回にボールを落としてしまった旭川大高の左翼・持丸君。その直後に本塁への矢のような送球でアウトにした。すぐにやり返す精神的な強さは素晴らしかったです。悔しい思いから、君は絶対に強くなる。僕も甲子園では悔しさしかなかったから。

 ◆「バトルスタディーズ」 PL学園出身の元甲子園球児・なきぼくろ氏が、同校をモデルにした「DL学園」を舞台にして描いた高校野球マンガ。名門野球部に入部した主人公・狩野笑太郎と仲間たちが、厳しい上下関係を乗り越え、野球を通じて成長していく姿が描かれている。

 ◆なきぼくろ 1985年10月26日、大阪・枚方市生まれ。32歳。PL学園で03年夏、「9番・右翼」で甲子園出場。卒業後はイラストレーターとして活動。14年8月、週刊「Dモーニング」新人増刊号に「バトルスタディーズ」を掲載。その後、連載化された。リアルなストーリーと独特の描写が読者の熱い支持を得ている。

高校野球
今日のスポーツ報知(東京版)