金足農、23年ぶり夏1勝 県大会12打数無安打の菊池亮が3の3

スポーツ報知
アルプススタンドに向かって駆け出す金足農・吉田(左)と菊地亮ら

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第4日 ▽1回戦 金足農5―1鹿児島実(8日・甲子園)

 11年ぶり6度目の出場の金足農(秋田)が鹿児島実(鹿児島)に5―1で快勝。1995年以来、23年ぶりに甲子園で白星を飾った。金足農は、秋田大会では12打数無安打だった「8番・捕手」の菊地亮太(3年)が3打数3安打。3回に中前打で先制の口火を切ると、守備でもエース右腕・吉田輝星(こうせい、3年)を好リード。相手打線を9安打1失点に抑えた。金足農は第10日(14日)第2試合で大垣日大(岐阜)と対戦する。

 23年ぶりに、甲子園に響き渡った校歌。金足農のナインは体を反らせて最後まで全力で声を出し切った。19度出場の名門・鹿児島実に12安打を放って5―1の完勝。157球を投げきったエース・吉田が「先輩たちが作られた歴史の中に自分たちも少し入れたかな」と笑うと、中泉一豊監督(45)も「素直にうれしい。選手全員の力で勝つことができた」とたたえた。

 大舞台で“脇役”が輝いた。3回。先頭打者の菊地亮は相手の高めスライダーを振り抜き中前打。公式戦では5月の春の秋田大会決勝・由利工戦以来となる一打で流れを引き寄せ、その回3点を奪った。夏の県大会は12打数無安打だけに「これまで1本も打てなかったからホッとした」と自信をつかむと、3打数3安打の活躍。ムードメーカーは「みんなから『珍しいな』と言われてしまいました」と照れ笑いを浮かべた。

 エース・吉田の女房役。羽城中時代に「野球で吉田が入ることを聞いたから」と金足農に進学。国家資格の測量士補の資格を取る文武両道ぶりで、2年秋から正捕手として、時には球を受ける左手が血だらけになりながら守り続けた。吉田の球を受けるため、打撃練習はできていなかったが、県大会の悔しさから同大会終了後にフォームを改造。泣きながらバットを振り続けた。前日練習で「良い感じでできた」と手応えをつかんだ菊地亮は、宿舎で同部屋の吉田から「楽しみだな。全力で投げるからしっかり抑えろよ」と言われると「甲子園では打つよ。0か100だ」と宣言通りの活躍を見せた。

 次戦は大垣日大に決まった。前回出場した2007年に1―2で敗れた因縁の相手だが「自分たちのスタイルを貫けば負けない自信がある」と菊地亮。大エース吉田を生かす野球で、再び甲子園に旋風を巻き起こす。(遠藤 洋之)

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