今大会最速150キロの星稜エース・奥川、済美戦へ「変化球がカギ」

スポーツ報知
ブルペンで捕手を座らせて20球を投げた奥川

 12日の2回戦で済美(愛媛)と対戦する石川代表・星稜は11日、兵庫・西宮市内で約2時間の最終調整を行った。OBの松井秀喜氏(44)が始球式を行った開幕戦で今大会最速の150キロをたたき出したエース右腕・奥川恭伸(2年)は、剛速球に頼らないピッチングで最少失点を目指す。富山代表・高岡商は京都府内で調整。昨秋の大ケガから復活した1番・森田朝陽左翼手(2年)は攻守で調子が上向き。13日の2回戦(対佐久長聖、長野)突破を目指し、聖地で一回り成長した姿を見せる。

 「150キロ」の大台突破で、エースはまた一回り成長した。ブルペンで捕手を座らせ、力のこもった20球を投げ込んだ奥川は「済美戦は接戦になることを頭に入れている。1点でも多く取ればチームは勝てるので、自分は1点でも少なく抑えたい」と静かに闘志を燃やした。

 「初戦で150キロが出せたので、次は球速を気にせずに投げられます」というのが偽らざる本音だ。一番大切なものは、球速ではなくチームの勝利。「ストレートよりもスライダーなど変化球がカギになってくる。球の重さが感じられると、変化球もコントロールしやすい。その感触を意識したい」。150キロのハードルを越えたことで、投球の幅はさらに広がった。

 今大会で150キロを記録したのは、現時点で奥川ただ1人。「球速だけですよ」と謙遜するが、2年生の甲子園での150キロ超えは、2005年夏の駒大苫小牧・田中将大、11年夏の花巻東・大谷翔平、13年春夏の済美・安楽智大以来4人目。メジャーでも活躍するスーパースターらと肩を並べ「恥ずかしいですね。すごい顔ぶれなので。それに恥じないピッチングをしたい」と照れくさそうに話した。

 フリー打撃では連日、サク越えを連発している。今春のセンバツを含めた甲子園4試合での打撃成績は、12打数6安打6打点。センバツの3回戦・近江(滋賀)戦では10回にサヨナラ二塁打を放つなど「いつも打てないのに、甲子園ではなぜか打てる」と首をひねりながらも、「バッティングはあまり期待しないでください」と笑わせた。150キロの剛速球だけに頼らないピッチングと、天性の勝負強さを持つバッティングで、奥川がチームを4年ぶりの夏3回戦へと導く。(勝田 成紀)

野球

×