金足農・吉田輝星、ダルビッシュに並ぶ2戦連続2ケタ奪三振 緩急差50キロも

スポーツ報知
1回2死満塁、大垣日大・堀本を三振に打ちとりマウンドで叫ぶ金足農・吉田(カメラ・泉 貫太)

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第10日 ▽2回戦 金足農6―3大垣日大(14日・甲子園)

 みちのくのドクターKが、またしても奪三振ショーを繰り広げた。金足農(秋田)の150キロ右腕・吉田輝星(こうせい・3年)は、大垣日大(岐阜)戦に先発し、最速149キロを計測した直球を軸に4者連続を含む13奪三振で3失点完投勝ち。チームが8強入りした95年以来、23年ぶりの16強に導いた。14三振を奪った1回戦(対鹿児島実)に続く2試合連続2ケタ奪三振は、東北勢では04年の東北・ダルビッシュ有(現カブス)らに並んだ。3回戦では、優勝候補の横浜(南神奈川)と激突する。

 4万3000人のどよめきが、マウンド上の吉田を包み込んだ。3点リードで迎えた9回1死。最後の力を振り絞り、149キロを3連発。「疲れはたまっていたけど、力みが取れて一番いいボールがいった。スタンドからもざわめきが聞こえて、流れを引き寄せられていると」。154球の熱投で、5回を除く毎回の13K完投。みちのく勢では史上7人目となる、2試合連続2ケタ奪三振だ。

 ギアを上げた。1点を勝ち越した直後の8回だ。「大友(朝陽)の一発で目が覚めた。点を取った後は全開でいった。みんなから勇気をもらった」。8回先頭から9回1死まで、4者続けて直球で見逃し三振。4人に投じた20球のうち、16球がスピンの効いた“火の玉ストレート”。追い込まれてもバットが出ないほど、キレキレだった。

 中5日の甲子園で進化を遂げた。鹿児島実との1回戦(8日)では、14奪三振のうち10個が空振り。この日は13奪三振のうち、9個を見逃しで奪った。11三振の勝負球が直球で「低めのボールが伸びていけば、バッターの手が出ないことがある。そういうボールを投げられたのかなと。狙い通りいった」。同点とされた直後の4回からは、98キロのスローカーブなど、約50キロの緩急差で幻惑。打者の目先を変えて、6回以降は無安打に封じた。

 “鬼の阪口”も脱帽だ。対戦した甲子園春夏32度出場の名将・阪口慶三監督(74)も「好投手としか言いようがない。同点にした3回くらいまで、あまり球が来ていないと思った。6、7回から力のある投球になった。直球に緩急をつける投球。一流だ」と完敗を認めた。

 県大会から全7試合、61イニングを完投。9回には適時打も放った大黒柱のフル回転で、23年ぶりの16強入り。17日の3回戦では、優勝候補の横浜と激突だ。最速150キロ右腕は「これからは本当に厳しい戦いになってくる。初回から全開で9回までいきたい。目標は東北に初の優勝旗を持ち帰ること」。みちのくの新星が、真夏の甲子園で更なる輝きを放つ。(青柳 明)

 ★吉田 輝星(よしだ・こうせい)アラカルト

 ▽生まれとサイズ 2001年1月12日、秋田市生まれ。17歳。176センチ、81キロ。右投右打。

 ▽球歴 天王小3から野球を始め、天王中では軟式野球部に所属。金足農では1年夏からベンチ入りし、同秋からエース。昨夏県大会準V。今春は、県大会優勝で東北大会8強。今夏県大会は全5試合43回を完投。57奪三振は出場選手で最多。

 ▽球種 直球、カットボール、カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ。

 ▽家族 両親と弟。

 ▽名前の由来 父がシドニー五輪柔道金メダリスト・井上康生氏にひかれたことから。

 ▽ニックネーム 同級生からは「ヨッシー」。

 ▽好きな歌手 三代目J Soul Brothers。試合前には「MUGEN ROAD」を聴く。

 ▽悩み 冬のトレーニングでお尻回りが大きくなり、持っているズボンが、ほとんどはけなくなった。

 ◆東北勢の2試合連続2ケタ奪三振

 11年に聖光学院・歳内宏明が1回戦(対日南学園、延長10回で16個)と2回戦(対金沢、14個)で記録して以来で、04年の東北・ダルビッシュ、05年の青森山田・柳田将利、06年の仙台育英・佐藤由規らと並んで7人目。春は09年の花巻東・菊池雄星まで4人が記録している。2戦合計27Kは、ダルビッシュの22K(10、12)、由規の24K(11、13)を上回る。歴代最多は12年の桐光学園・松井裕樹の41K(22、19)。

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