八戸学院光星、大敗の中に見えた光 福山―成田の友情リレー

スポーツ報知
龍谷大平安に敗れ肩を落として引き揚げる八戸学院光星ナイン

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第11日 ▽2回戦 龍谷大平安14―1八戸学院光星(15日・甲子園)

 八戸学院光星(青森)は龍谷大平安(京都)に1―14で大敗し、2回戦で姿を消した。先発右腕の福山優希(3年)が2回0/3を投げて5安打6失点、2番手の左腕・成田太一(3年)が5回を投げて5安打2失点と、投手陣が踏ん張りきれず失点を重ねた。それでも、2年時から投手陣を引っ張ってきた2人が、時にはぶつかり、時には支え合いながら、聖地で堂々の投球を見せた。

 試合後の2人の表情は対照的だった。先発しながら、2回に自身の二塁悪送球でピンチを広げるなど、3回途中6失点KOの八戸学院光星・福山は「ふがいない投球をしてしまって…」と涙を流した。福山を救援し、5イニングを投げて2失点にまとめた成田は「みんなに連れてきてもらい、マウンドにも立たせてもらった。悔しいけど感謝したい」と胸を張った。2年時から投手陣の軸を担った2人。だが、順風満帆にきたわけではなかった。

 青森県出身の福山と大阪府出身の成田だけに、「最初は距離を置いていたと思う」(成田)。1年秋からともに頭角を現し、投手陣の中心へ成長すると、背番号1を争う“ライバル心”が強く出た。福山は「2年春の頃は、ささいなことでしょっちゅう口論していた」。互いに意識するからこそ、ぶつかり合った。

 転換点は今春だった。3月の関西遠征は2人とも打ち込まれ、4月に入ってもふがいない投球が続いた。「自分たちがしっかりしないとダメだと強く思った」(福山)と、“ライバル心”をチームの勝利のために向けた。その後は練習時のキャッチボール相手を務め、後輩に助言するなど、投手陣の“2本柱”としてチームを支えた。

 今夏の青森大会は成田が左肘痛でメンバー外となったが、甲子園で再び共闘。この日もベンチでは、2人並んでチームメートに必死に声をかけた。成田は「ずっと福山が1番を背負ってきた。あいつで打たれたら悔いはない」と話した。

 「成田は、今の力は出してくれたと思う。福山はこの悔しさを忘れず、努力を続けてほしい」と2人に言葉をかけた仲井宗基監督(48)。勝利にはつながらなかったが、歩みが無駄ではなかったことを、福山と成田の力投が教えてくれた。(有吉 広紀)

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