日大三・井上、自己最速150キロ「まだ2、3キロは出る」優勝2011年以来16強進出

スポーツ報知
2回、MAX150キロを記録するなどこの回を無失点に抑え、笑顔でベンチに戻る日大三先発の井上(カメラ・泉 貫太)

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第11日 ▽2回戦 日大三8―4奈良大付(15日・甲子園)

 スーパー2年生右腕が、明暗を分けた。今春センバツで147キロをマークしながら、右肘痛で実戦から離れていた日大三(西東京)の井上広輝が、奈良大付戦で先発。約4か月ぶりのマウンドで自己最速を3キロ更新する150キロをマークするなど、3回を無安打4奪三振と好投し、チームは優勝した2011年以来、7年ぶりの16強入りを決めた。

 躍動した。右肘の違和感から109日ぶりの復帰登板となった井上は、真夏の甲子園で思い切り腕を振った。第1球は146キロ。2回2死からの5球目には、自己最速を3キロ更新する150キロをマークした。「まだベストの状態ではない。現状で(スピードが)8、9割出ているかなので、まだ2、3キロは出る」。最長3イニング限定のマウンドで、3回無安打無失点。3者連続を含む4三振を奪い、完璧に仕事をやり遂げた。

 登板に飢えていた。今春のセンバツ初戦(対由利工)に2番手で登板。2年生投手では歴代2位タイとなる147キロをマークしたが、4月28日の春季都大会準決勝(対早実)で右肘に違和感を覚えた。以降はリハビリに取り組み、練習試合でも登板なし。今夏の西東京大会では、ベンチから誰よりも大きな声で盛り上げた。公式戦での先発は、センバツ2回戦(対三重)以来だった。「先輩たちが甲子園まで連れてきてくれた。恩返しをしようと思って投げた久しぶりのマウンドが、最高に気持ち良かった」と、充実した表情で振り返った。

 同じ2年生右腕で、共にU―18侍ジャパン候補に選出されている創志学園・西の投球に刺激を受けた。第1試合の下関国際戦をテレビ観戦し、「スライダーが良くて、追い込んで三振が取れるのはすごい」と感嘆。星稜・奥川恭伸投手ら、甲子園で輝きを放った同級生の活躍には、「自分もやってやろうという気持ちになる」と、闘志を燃やした。

 リハビリ中のランニングなどで、下半身がパワーアップ。「真っすぐにキレが出てきた。10割の力で投げていたボールが、7割の力で投げられるようになった。10割で投げられれば、もっとボールがいくと思う」。球質も球威も増した速球に、自信をのぞかせた。

 この勝利で東京勢は春夏通算300勝。小倉全由(まさよし)監督(61)は春夏通算35勝目となり、箕島(和歌山)を指揮した尾藤公氏(故人)に並び、歴代10位に浮上した。指揮官は「『広輝、思い切っていけよ!』とか声も多く出てたし、周りもアイツが投げることでホッとしてるみたいなところがある」と笑顔。復活を遂げた2年生右腕が、チームに活力をもたらした。(青柳 明)

 ◆井上 広輝(いのうえ・ひろき)2001年7月17日、神奈川・厚木市生まれ。17歳。小1からソフトボールを始め、6年時には世界大会優勝。南毛利中では、2年まで相模ボーイズ、3年時は海老名南シニア。日大三では1年夏からベンチ入り。昨秋から背番号11。180センチ、76キロ。右投右打。家族は両親と兄、弟。OBで2学年上の兄・大成(現青学大)は、清宮(現日本ハム)らと共に侍ジャパン高校代表。

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