高岡商・山田11K「成長した」 強肩過ぎてドッジボール中止

スポーツ報知
敗戦に涙を流す山田(右)と筏のバッテリー

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第12日 ▽3回戦 大阪桐蔭3―1高岡商(16日・甲子園)

 優勝候補の筆頭格に食らい付いた。2年ぶり19度目出場の高岡商(富山)は、春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)に1―3で惜敗し、1947年以来、71年ぶりの8強進出はならなかった。それでもエース左腕・山田龍聖(3年)が3失点完投、11Kと躍動。打線も2回に4番・筏(いかだ)秀生捕手(3年)のヒットを足がかりに先制するなど、春の王者を苦しめ、甲子園を大いに沸かせた。

 プロ注目のエース左腕・山田が、聖地で開花した。富山大会までは球威、制球力ともに不安を残していたが、今大会3試合を通じて調子は急上昇。最速144キロをマークし、大阪桐蔭戦では抜群の制球力で11三振を奪った。山田は「やることは、やりました。あとは胸を張って、富山に帰りたい」と充実の表情を見せた。

 生まれ持った力を発揮した。幼少時から強肩ぶりを発揮し、小学校でのドッジボールではあまりの球速に危険と判断されて中止に。もともとはサッカー好きだったが「名前はわかりませんが、一度、甲子園ですごい投手を見て、野球をやりたいと思いました」。小学4年から野球チームに加入。当初はキャッチボールもできなかったが、半年後にはマウンドで投球していたという。

 その後は野球にのめり込んだ。小遣いのほとんどは、野球用品やトレーニング本、野球雑誌、漫画では「ダイヤのA」「ドラベース」を買い込み、本棚にびっしり並べて研究した。

 野球に対する熱意と、元来の強肩ぶりが聖地で結実した。「相手のおかげで、いいピッチングができた。成長した実感があります」と山田。甲子園にあこがれた野球少年が、確かな足跡を残した。(中田 康博)

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