1年冬に”引退”考えた浦和学院・渡辺「あの時やめなくて良かった」
◆第100回全国高校野球選手権記念大会 第14日 ▽準々決勝 大阪桐蔭11―2浦和学院(18日・甲子園)
”浦学の大谷”こと今秋ドラフト候補の浦和学院・渡辺勇太朗(3年)が、王者・大阪桐蔭の前に散った。
同じく今秋ドラフト候補の根尾昂投手(3年)に左越えソロ、藤原恭大中堅手(3年)に右越えソロを浴びるなど、6回途中6安打4失点。9回にも再びマウンドに上がったが、石川瑞貴一塁手(3年)にも左越えソロを浴びた。
それでも入学当初の右腕は、ここまで来られると思っていなかった。
2日の抽選会。右腕は「あの時、野球をやめなくて良かったと思っています」と明かした。
チームを離れ”引退”を考えていた時期があった。
1年冬。合宿所から、渡辺の姿が消えた。初めて迎えた冬の厳しい練習に、不安を覚えていた。
すぐさま、関係者が埼玉県内の自宅を訪問。同級生からは、思いが込もった手紙を受け取った。
現チームで主将を務める蛭間拓哉中堅手(3年)は「今はキツイけど、最後に笑える時が来る。つらいけど、今は頑張ろう、と伝えました」。
約1か月の”充電期間”を経て、右腕は大切な仲間の元へ戻った。
自身初の甲子園。二松学舎大付(東東京)との3回戦では、高校初完投を5安打10奪三振の完封勝利で飾った。
初戦から15イニング無失点で迎えたが、大阪桐蔭の壁は高く、厚かった。
◆渡辺勇太朗あらかると
▽生まれとサイズ 2000年9月21日、埼玉・羽生市生まれ。17歳。190センチ、90キロ。右投右打。
▽球歴 小1から野球を始め、東中では軟式野球部に所属し、2年時にエースで全国大会出場。浦和学院では1年秋からベンチ入り。昨夏県大会決勝の花咲徳栄戦に先発も、5回途中4安打3失点で敗戦投手。
▽背番号 昨秋から11。3年間を通じて、エースナンバーを背負ったことはない。こだわりはなく「投げられればいい」。
▽球種 最速149キロの直球、2種類のスライダー、カーブ、スプリット、ツーシーム。
▽憧れ エンゼルス・大谷。昨秋から投球フォームを参考にし「足を上げる時と、スムーズな体重移動。すごくバランス良く投げられるようになった」。大谷獲得に携わり、2回戦(対仙台育英)を視察した日本ハム・大渕スカウト部長も「似ている」と評したほど。
▽家族 両親と兄2人。