金足農、秋田県勢103年ぶり決勝へ吉兆データあり 一塁側ベンチで全勝

スポーツ報知
選手権秋田大会から負けなしの「一塁ベンチ」で準決勝に臨む金足農ナイン(写真は17日の甲子園3回戦、対横浜)

◆第100回全国高校野球選手権記念大会

 第100回全国高校野球選手権記念大会で34年ぶりの4強進出を果たした金足農(秋田)は19日、休養日に充て、20日の準決勝・日大三(西東京)戦に向けて英気を養った。金足農は今夏の秋田大会から全試合で一塁側ベンチを使用。準決勝以降も一塁側が確定した。試合までの流れも完全に把握する慣れた“ベンチワーク”で、1915年第1回の秋田中(現・秋田)以来、103年ぶりとなる秋田県勢の決勝進出を目指す。

 逆転サヨナラ2点スクイズで、1984年以来、34年ぶりの4強入りを果たした金足農。劇的な勝利から一夜明け、大阪・守口市内の宿舎で取材に応じたナインはリラックスした様子だった。朝食後に宿舎近くの公園で約1時間、体操などで体をほぐした後は、練習はなし。中泉一豊監督(45)は「選手からも、ゆっくりしたいと(リクエストを)言われたし、疲れを取って日大三に臨ませたい」と語った。

 次に挑むのは、第1回の秋田中以来、103年ぶりの決勝進出。心強いのは同じベンチで臨めることだ。金足農は今夏、秋田大会から全試合で一塁側ベンチを使用している。県大会は第1シードだったため確約されていたが、甲子園では1~3回戦、準々決勝、決勝と3度の抽選ですべて一塁側を確保してきた。主将の佐々木大夢(ひろむ)左翼手(3年)は「いつも同じにできるのはいい流れ。縁を感じますね」と笑顔を見せた。

 利点も大きい。甲子園では試合前の報道対応を一塁側から行うため、三塁側より長く試合の準備に集中できる。また、真夏の強い日差しも、準決勝第1試合が始まる午前10時以降は差異がなく、午後2時を回ると一塁側は日陰となる。3回戦の横浜戦から2試合続けて行われた18日の準々決勝・近江戦は第4試合。菊地亮太捕手(3年)は「きのう(準々決勝)は日陰だったこともあり、暑さはそんなになかった」と暑さによる蓄積のダメージは回避できている。

 34年ぶりの快進撃に、チームには地元の特産米「あきたこまち」が2回にわたり合計200キロ、差し入れとして届くなど、遠征によるストレスはほとんどない状況だ。「戦い方は変わらない。いつもの力を出させてやりたい」と中泉監督。流れを大切にして、新たな歴史の扉を開く。(遠藤 洋之)

 ◆秋田中の決勝 1915年、大阪・豊中球場で行われた第1回大会にエース・長崎広を擁した秋田中(現・秋田)は、初戦で山田中(三重、現・宇治山田)、準決勝で早実(東京)に勝利。京都二中(京都、現・鳥羽)との決勝は7回に1点先制も、8回に追いつかれ、延長13回の1死二塁から二ゴロから走者の本塁生還を許し、サヨナラ負け。34年の秋田中、65年の秋田、84年の金足農、89年の秋田経法大付(現・明桜)は準決勝で敗れた。

 ◆“指揮官の啓示”で日替わりヒーロー!?

 今大会の金足農は試合ごとに攻撃面の“主役”が変わり、快進撃につながっている。中泉監督は「考えてみると、試合前、自分が何か関わった選手が活躍しているんですよ」と笑いながら振り返った。

 2回戦の大垣日大戦では、ノックで打球を意図しない方向に飛ばして謝った大友朝陽中堅手(3年)が決勝本塁打。3回戦は、言葉を交わした高橋佑輔一塁手(3年)が逆転3点本塁打。準々決勝ではトイレで「おふざけと言うか、前にいたので駆け足で近づいて慌てさせました」という菊地彪吾(ひゅうご)右翼手(3年)が、スクイズで二塁からサヨナラの本塁生還を果たした。

 準決勝について質問を受けた指揮官は「当日にならないと分かりません」と苦笑いしたが“指揮官の啓示”で新たなヒーローが誕生するかもしれない!?

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