智弁和歌山・高嶋監督勇退一問一答〈2〉最多勝はあまり気にしていない

スポーツ報知
ノックをする智弁和歌山・高嶋監督

 甲子園歴代最多68勝を誇る智弁和歌山の高嶋仁監督(72)が25日、前日24日付で勇退したことを発表した。後任は、プロ野球の巨人、阪神などで活躍した、教え子の中谷仁コーチ(39)が務める。高嶋監督は名誉監督として智弁学園(奈良)も指導する。

 以下は会見の一問一答(続き)

 ―最多勝の要因

 「最多勝はあまり気にしていない。僕がやるもんじゃないので。選手が勝ってくれないと数が増えない。よそと同じような練習をしとったら勝てないですから、かなりきつい練習をしました。甲子園に出ますと、僕的には甲子園は天国。起床、消灯(時間)はありません。外出も自由。ただ、食事の時間は決まっている。遅れると帰らせる。朝6時から朝食。時間が決まっとる以上に選手はきつかった。自由といいながら自由じゃない。試合に負けて帰ると苦しさが待っとる。彼らは1日でも長く苦しさから逃れたい。そのためには甲子園で勝つしかない。今年もそうでしたけど、負けたら次の日から練習が始まりますから。休みを取るとか、そういうのはありません。しごいてきてよかったなとは思っています」

 ―甲子園とは

 「負けて帰ってきますよね。2、3日はいいんですけど、1週間ぐらいすると震えが出てくる。言葉は悪いんですけど、僕はそれを禁断症状と呼ぶ。そうするとノックに力が入る。『このやろ~』という声が出る。『そんなんで甲子園にいけるか!』という声が出る。それが原動力になっていた。その繰り返しだった」

 ―子供たちに伝えてきたこと

 「野球の指導者はみんな一緒やと思う。世の中に出たら、堂々と生きていける選手になってほしい。世の中のルールをしっかり守る。会社に勤めて上司に怒られたけど、『智弁の時に比べたら…』と。野球をやっていた意味がそこにある。OB会があって毎年出てますが、みんな高校時代に『どれだけやられた』という話ばっかり。それでええと思う。その中で必死になって生きていますから。『こいつようやっとるな』とか『お前、もう部長になったんか』とか、いろいろ出てきてます。学校の先生をやっていたのがほとんど校長です。卒業生を見ると、やってきてよかったなと思う」

 ―誇りに思う記録

 「甲子園に出るのは誇り。PLの中村(順司元)監督の58勝を超えた後、何年か前に理事長先生に『まだ記録ありますよ』と言われた。監督としての出場回数。(福井商・北野尚文元監督の)36回。まだこういう記録があるんや、と。それも乗り越えてきた。今思えば、自分としても誇りだし、選手がよくやってくれた」

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