東海大札幌が1点差辛勝、最速146キロ右腕がベールを脱いだ

スポーツ報知
公式戦初先発で8回3失点と粘投した東海大札幌・小林珠維

 ◆第71回秋季北海道高校野球大会札幌地区予選 ▽Bブロック1回戦 東海大札幌4―3北海学園札幌(3日・野幌硬式野球場)

 東海大札幌の“秘密兵器”がベールを脱いだ。道内10地区のトップを切って札幌地区が開幕。4年ぶりの優勝を狙う東海大札幌は、北海学園札幌を4―3で下して初戦を突破した。最速146キロを誇るエース右腕・小林珠維(じゅい、2年)が公式戦初先発。8回7安打3失点4奪三振と粘投すれば、打っては2安打2打点と投打で大器の片鱗(りん)をみせた。

 183センチ、84キロ。その恵まれた体格から、豪快に右腕を振り下ろした。直球を軸に、スライダーを織り交ぜて7回まで4安打1失点。8回に味方守備の判断ミスなどで失点をするも、要所は自慢の直球でねじ伏せた。それでも、9回攻撃中に左ふくらはぎをつって降板しただけに、「最後まで投げきりたかった。自分のトレーニング不足です」と、背番号1に満足はなかった。

 中学硬式チームの名門・札幌新琴似シニア出身。高校入学時ですでに最速139キロをマークするなど、周囲の期待は大きかったが、今夏は結果を残せずにベンチを外れた。小林は「中学と高校の差を感じた。夏の悔しさを秋に晴らす気持ちでやってきた」。下半身中心の地道なトレーニングの成果で、今夏の練習試合では146キロを計測するまでに成長した。

 兄の思いも背負う。3学年上の兄・由来(ゆうら、現北海学園大2年)は同校OB。2016年夏の南北海道大会(札幌円山)では、準々決勝の北海学園札幌戦で大会史上初の代打満塁本塁打を放った。「両親が録画したビデオで観た。兄は憧れ」。偶然にも、記念すべき公式戦初先発の相手が北海学園札幌に「ちょっと、意識したが勝てて良かった」と、小林は表情を緩めた。

 チームは昨夏の南大会準優勝以降、3季連続で札幌地区予選敗退。大脇英徳監督(43)は「小林を中心に戦いたい」と、右腕を同校では珍しい「エース兼4番」で起用する。小林も「自分が甲子園に行かないと、と思っている」。兄は準決勝でエース・大西健斗(現慶大2年)を擁し、甲子園準優勝した北海に敗れた。兄、そしてチームの思いを背負った背番号1が、4年ぶりの聖地へと導く。

 (清藤 駿太)

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