【U18】高校ジャパン、26点発進!根尾「人生初」サイクルは3回で達成

スポーツ報知
2回2死、この回2度目の打席で右越えにソロ本塁打を放つ根尾(カメラ・泉 貫太)

◆第12回U18アジア選手権大会1次ラウンドA組 日本26―0香港=5回コールド=(3日・サンマリン宮崎)

 今秋ドラフト1位候補の根尾昂内野手(3年)が、人生初のサイクル安打で高校ジャパンを大勝発進に導いた。

 「5番・右翼」で出場し、チーム大会1号を右翼席に放つなど、早くも3回にサイクル安打を達成。5打数5安打5打点と大暴れした。打線も2回に打者24人を送り込む猛攻で、高校日本代表の国際大会史上最多となる1イニング19得点。26―0の5回コールドで香港を下した。今大会注目のエース・吉田輝星(3年)は登板せず、一塁コーチャーを務めて観客から大歓声を浴びた。

 いとも簡単に大記録をやってのけた。20―0の3回2死二塁、根尾は初球を左前にはじき返した。「左翼(の守備位置)が深かったのは頭にあった。単打で(二塁まで)いけるかな」。左翼が打球処理にもたつく間に二塁を陥れ「人生初」というサイクル安打を達成した。

 先制打も、日本の第1号も大黒柱のバットから生まれた。2回無死一塁で左翼線へ適時三塁打を放つと、この回2度目の打席で右翼にソロを放り込んだ。高校通算31号は木製バットで自身初アーチとなった。「そんなに飛んでいなかった。金属で打つより感触が違う。もっと打てると思う」と、自信を深めた。

 この回3度目の打席では中前タイムリーを放ち、1イニングでサイクル安打を達成しそうな勢いだった。二刀流が点火させた打線は打者24人の超猛攻を仕掛けた。13安打11長打で、高校日本代表では1イニング最多の19得点を奪った。

 根尾は4回2死三塁での適時二塁打を含めて「初めて」という5安打。3回の二塁打以外は全て初球だった。「ストライクが数少ないと思っていたので、一発で捉えようとした」。想定以上の遅い球に対して、本塁打以外はすべて中堅から逆方向にはじき返した。

 永田裕治監督(54)は「みんなが振り回していたのを見た。学習能力がある。さすがです」と絶賛し「絶対に相手の目を見て話す。必ずあいさつもする。まだ1週間ちょっとしか一緒にいないけど『根尾で負けたらしゃあない』と思える。選手の間でも一目置かれている」と、心酔している。

 昨年のU18W杯は、大阪桐蔭で同僚の藤原が選ばれた一方で、自身は選考から漏れた。「(当時は)打てない、投げられないだった。もっと結果を残さないといけないんだろうな」と、漏らしたことがあった。嫉妬や悔しさをバネに、今年は日本にとって不可欠な存在に成長した。

 4長打で5打点12塁打の根尾は、19安打26得点の圧勝発進に大きく貢献した。それでも「今日のチームで5本打って満足しているようじゃ全然ダメ。(サイクル安打を)やった感じもない」と、貪欲過ぎる姿勢を示した。根尾が充実感に浸るのは、初のアジア連覇を達成した時だけだ。(伊井 亮一)

 ◆根尾 昂(ねお・あきら)2000年4月19日、岐阜・飛騨市生まれ。18歳。小2から野球を始め、中学時代は「飛騨高山ボーイズ」でプレーする傍ら、スキーのスラロームで全国優勝し、国際大会にも出場。3年時に野茂英雄氏が総監督を務めるNOMOジャパンに選出され、米国に遠征。高校では1年夏からベンチ入り。2年春からレギュラーとなり、4季連続で甲子園出場。うち3度優勝。177センチ、78キロ。右投左打。

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