吉田輝星プロ有力!進学路線も気持ちに変化、志望届提出へ

スポーツ報知
中国との3位決定戦で、ベンチからジェスチャーを交えて声援を送る吉田(手前は市川=カメラ・泉 貫太)

 今夏の甲子園準優勝投手で、10月25日のドラフト会議で巨人も1位候補に挙げる金足農(秋田)の150キロ右腕・吉田輝星(3年)が、プロ志望届を提出することが現時点で有力であることが10日、分かった。この日、U18アジア野球選手権大会(宮崎)の中国戦に勝って3位を決め、全日程が終了。進路について明言を避けたが、関係者の話を総合すると、当初の大学進学から気持ちが大きく傾いているもようだ。プロ志望となれば、各球団のドラフト戦略に大きな影響を与えることになりそうだ。

 輝星がプロの世界に飛び込む可能性が高まっている。高校日本代表としての最終戦を終えたこの日、注目の進路について「国体が終わってから考えたい」と明言を避けた。だが、関係者の話を総合すると、プロ志向が強まっていることが明らかになった。

 今夏の秋田大会前の段階では、北東北大学リーグの八戸学院大に進学する方向でほぼ固まっていた。同大学・正村公弘監督の熱心な指導で自身を大きく飛躍させてくれた恩義によるものだったが、甲子園での大活躍で自身の置かれる状況は大きく変わった。鹿児島実との1回戦で14奪三振の1失点完投勝ち。浮き上がるような直球に多彩な変化球。制球力、けん制、守備にもたけた万能型の投球に、プロの評価は急上昇した。その後も好投を続け、4試合連続2ケタ奪三振をマークするなどスタミナもアピール。即戦力級との評価もあり、プロ志望届を提出すれば1位指名は確実と言われるまでになった。

 さらに、県立の農業高を県勢103年ぶりの準Vに導き、社会現象を巻き起こした“金農フィーバー”の主役とあって、知名度は全国区に。甲子園のスターが持つ人気は、プロ球団にとって大きな魅力の一つになる。巨人も甲子園後のスカウト会議で1位指名の最有力候補にリストアップするまでに至っている。

 日の丸を背負ったことも、輝星の心境に影響を与えたもようだ。高校日本代表でもエース格を任されたが、「周りのメンバーの意識の高さや野球に対する考え方、熱意が違った。自分ももっと真剣に、本気で野球に取り組みたいと思いました」。根尾、柿木、藤原らプロを目指す精鋭からも刺激を受けた。「甲子園に来てから、秋田大会とは全く感覚が違って、上のレベルですごく自分が成長できた。次のステージでもしっかり成長したい」とも話しており、自らレベルアップする環境に大きな魅力を感じているようだ。

 今後は、30日に開幕する福井国体に向けて練習を重ねながら、両親や指導者らと話し合うことになりそうだ。「自分の将来のことなので、自分が後悔しない道を選びたいなと思います」と輝星。周囲の声にも耳を傾けながら、自らの意思を固めていく。

 ◆初国際大会2敗も収穫「パワーの違い感じた」

 輝星は、この日行われた中国との3位決定戦には疲労を考慮した首脳陣の意向で登板せず。先発で6回3失点(自責2)だった5日の1次ラウンド(R)・韓国戦と、リリーフで5回2失点だった7日のスーパーR・台湾戦は、ともに敗戦投手に。「2試合ともダメなピッチングだったのに、取り返す機会がなくなってしまった」と悔しがった。

 自身初の国際大会は大きな収穫もあった。「簡単に当てられただけでホームランにされたり、パワーの違いを感じた。かわすだけじゃダメだと思った。もっと成長して、しっかり日の丸を背負ってプレーしたい」と、将来的な侍ジャパン入りに意欲を示した。

 ◇プロ志望届 プロ入りを希望する高校生、大学生に提出が義務づけられたもの。高校生は、夏の甲子園が終了した翌日(今年は8月22日)から提出が解禁され、提出期限はドラフト会議の2週間前(今年は10月11日)。未提出の選手は当該年度のドラフトで指名を受けることができない。日本野球機構(NPB)だけでなく、国内独立リーグや米大リーグも含まれる。

 ◆吉田 輝星(よしだ・こうせい)2001年1月12日、秋田市生まれ。17歳。小3から野球を始め、金足農では1年夏にベンチ入り。同秋からエース。昨夏の秋田大会準優勝で、今春は県大会優勝、東北大会8強。今夏は秋田大会から甲子園準決勝まで10試合連続完投勝ち。決勝で大阪桐蔭に敗れたが、大会通算62奪三振は歴代6位。球種はカットボール、カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ。176センチ、81キロ。右投右打。家族は両親、弟。

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