福島商エース・大内、全戦完投へ金足農・輝星フォーム「マウンドは自分の縄張り」

スポーツ報知
キャッチボールをする福島商・大内

 14日に開幕する福島県大会を手始めに、秋季高校野球の東北6県の県大会がスタートする。来春のセンバツ甲子園の重要な選考資料となる今秋の戦いに向け、各校とも着々と準備中だ。今春、今夏と県準優勝と栄冠にあと一歩だった福島商は、エース右腕・大内良真(2年)が復調。チームを今夏甲子園準Vに導いた金足農(秋田)の吉田輝星(3年)同様に、“全試合完投”でチームを勝利に導くと誓った。

 チームの誰よりも経験を積んでいるエースの自覚が、その言葉からにじみ出た。「自分が投げて、守備から流れを作って点を取ってもらうのが福商の野球。全部自分が投げるつもりです」と、福島商・大内は力強く宣言だ。今春の県大会、今夏の福島大会ともに準優勝。2年生から主戦を務めた最速143キロ右腕が中心となり、今度こそ頂点を狙う。

 金足農・吉田から学んだ。秋田大会初戦から甲子園決勝で途中降板するまで投げ抜いた吉田に、大内は「吉田さんの(使っている言葉の)ように、マウンドは自分の縄張りのつもりでやる」と気合十分だ。実は疲労の影響で右肩に痛みが出て、8月中の練習試合はほとんど投げられず。コーチから「下半身を使えないと、また(右肩痛を)やるよ」と指摘され、参考にしたのが吉田だった。

 投球動画を見て、体重の乗せ方や足の運びなどを取り入れ、投球フォームを修正。県大会を見据え、先週は多いときで1日100~150球を投げ込んだが、「(下半身を使えると)疲労が全く違った」(大内)と手応えを感じた。直球と縦横2種類のスライダーなどを駆使し、吉田のように連投も辞さず、勝利に結びつく投球を続ける。

 優勝した県北支部予選は全4戦に登板。準決勝、決勝と完投勝ちも、全試合で失点を許した。渡辺真也監督(53)から「夏に抑えていた投手が打たれることがある」と伝えられていた大内は「気を抜いたわけではないけど…。支部のような投球じゃ通用しない」。油断を捨て、会津学鳳―白河の勝者と当たる初戦の2回戦(16日)に臨む。甲子園は2000年の春夏以来、遠ざかっている。「しっかり抑えて打撃につなげたい」と意気込んだ大内の右腕が、センバツへ続く道のりを切り開いていく。(有吉 広紀)

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