吉田輝星、ホップするような球質が完全復活 自己最速更新152キロ「後悔しない道を選ぶ」

スポーツ報知
試合開始前、マウンドでシャキーンポーズを決める金足農・吉田(カメラ・谷口 健二)

◆福井国体 高校野球硬式2回戦 金足農7x―0常葉大菊川=7回コールド=(2日・福井県営)

 今夏の甲子園準優勝投手で、25日のドラフト会議で巨人が1位指名の最有力候補に挙げる金足農(秋田)・吉田輝星(こうせい・3年)が、高校最後の登板で圧巻の投球を披露した。2回戦の常葉大菊川(静岡)戦に先発し、自己最速を2キロ更新する152キロをマークするなど、5回を投げて5者連続を含む11奪三振で4安打無失点と好投。チームも7回コールド勝ちした。プロ志望届の提出が有力となっている進路については明言を避けたが、近日中にも最終決断を下す。

 うなりを上げた白球が、浮き上がるようにしてミットに突き刺さった。2点リードの2回1死。輝星が1ボール2ストライクから投げ込んだ勝負球の直球に、8番・漢人友也は手を出すことすらできない。スコアボードに表示された球速は「152キロ」。高校ラストゲームで、自己最速を2キロ更新だ。福井県営野球場に詰めかけた8257人のファンからは、大きなどよめきと拍手がわき起こった。

 「会場がざわついていたし、自分としてもリリースの時に手応えがすごくあったので、これは出たなと思いました。きょうはしっかり腕も振れていたし、調子は悪い方じゃなかった。最後の試合で自己最速が出せてうれしいです」

 役者が違った。公式戦の登板は7日の宮崎でのU18アジア選手権・台湾戦以来、25日ぶり。だがブランクを感じさせることなく、何度もスタンドを沸かせた。初回には、国際試合では侮辱行為に取られるおそれがあるとして封印指令を出されていた「シャキーン」ポーズを解禁。いきなり福井のファンを喜ばせた。

 7月の秋田大会から甲子園、高校ジャパンまで一気に駆け抜けた疲労も抜け、ホップするような球質が完全復活。奪三振ショーを繰り広げた。2三振を喫した漢人は「低いと思って見送ったら、ベルト付近の高さだった。あんなボールは見たことない。高校生で打てるバッターなんていないんじゃないですか」と完全にお手上げ状態だ。

 プロ志望届の提出が有力となっている進路については「これから両親や監督さんと話し合って決めたいです」とし、結論を先送りした。だが、複数の関係者によると、もともと強いプロ志向を持つ輝星は、今夏の大活躍で自信を深め、プロ入りへの思いをさらに強めているという。

 すでに巨人が1位指名の最有力候補にリストアップするなど、プロ志望届を提出すれば一気に、25日に行われるドラフト会議の超目玉に浮上する。「後悔しない道を選ぶことをしっかり意識していきたい。地方大会の時とは(プロ側の評価も)全く違うので、しっかり考えたいと思います」と輝星。プロ志望届の提出期限は11日。決断の時は近い。(片岡 泰彦)

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