公立の星・古川、57年ぶり4強進出 全力校歌で初甲子園へ“王手”

スポーツ報知
57年ぶりの4強入りを決め、全力で校歌を歌う古川ナイン(カメラ・遠藤 洋之)

◆秋季東北大会 ▽準々決勝 古川3―1秋田修英(15日・こまちスタジアム)

 準々決勝4試合が行われ、古川(宮城2位)が秋田修英(秋田1位)に3―1で競り勝ち、57年ぶりの準決勝に進出。1―1の8回に走塁妨害から1点を奪うなど、少ないチャンスをものにして、春夏通じて初めての甲子園出場にまた一歩近づいた。

 フラッと舞い上がったボールを船橋暖人右翼手(2年)がスライディングキャッチすると大歓声が起こった。初戦(14日)の弘前東に続き秋田王者・秋田修英と私立2校を破って57年ぶりの4強を決めると、古川ナインは体を反りながら“全力校歌”を披露した。

 今夏、甲子園準優勝の金足農が県大会を勝ち抜いた球場で、同校と同じ紫のチームカラー。3安打で勝利に貢献した尾形爽左翼手(2年)は「マネしていると言われますけど、金足農の皆さんが注目される前からやっていました。東北大会で2回も勝てたのは信じられない」。伝統の歌い方で体の中から喜びを表現した。

 再びミラクルを起こした。相手打線を千坂優斗投手(2年)を中心に我慢強い守備で1点に抑えると、同点で迎えた8回1死一、二塁で尾形が左前へ安打。二塁走者の小野広翔三塁手(2年)が三塁手前で相手三塁手と交錯しかけながら、本塁へ突入。一度はタッチアウトになったが審判団が協議し、走塁妨害で得点が認められた。攻めの走塁が実った形の小野は「迷いはなかった。(得点が認められた瞬間は)本当にうれしかった」と笑みを浮かべた。

 平日は1日2時間の練習。それでも勝ち上がれたのは先輩たちの教訓だ。今夏は4回戦で東北学院に延長12回5―6でサヨナラ負け。「先輩たちも力はあったけど、敗因に集中力の足りなさを挙げていた」と尾形。少ない時間で練習から集中力を高め、全力でプレーすることで、ミスを減らして勝利を呼び込んできた。

 1921年創部の伝統校だが甲子園出場はない。来春のセンバツは東北から2校の出場が確定しているため、決勝に進めば大きく近づく。準決勝(17日)の相手は常連校・盛岡大付だが、尾形は「(4強が)実力に見合う力か分からないけど、とにかく全力。少しでも勝ちに貢献できるプレーをしたい」と決意。同じ紫カラーの公立校が旋風を巻き起こした大舞台への切符をつかんでみせる。(遠藤 洋之)

野球

×