U18侍の星稜・奥川、自己最速タイ150キロ5安打完封「北信越でも神宮でも優勝」

スポーツ報知
相手をわずか5安打に抑え完封した星稜のエース・奥川(カメラ・勝田 成紀)

◆高校野球 秋季北信越大会 第3日 星稜4―0東海大諏訪(21日・ハードオフエコスタジアム新潟)

 準決勝2試合が行われ、星稜(石川1位)が東海大諏訪(長野3位)を4―0で下し、2年連続13度目となる来春のセンバツ(3月23日開幕、甲子園)出場へ大きく前進した。U18日本代表右腕・奥川恭伸(2年)が自己最速タイの150キロの直球を武器に5安打完封。1年生の4番・内山壮真遊撃手が8回裏に左越え本塁打を放つなど投打で力を発揮した。星稜は今大会無失点、無失策と他を圧倒する強さで24年ぶりの3季連続甲子園出場と2年連続センバツ出場を引き寄せた。21日の決勝では、24年ぶりの神宮大会出場をかけ、啓新(福井3位)と対戦する。

 「狙って全国制覇」を目標に掲げる星稜が、今大会無失点、無失策の圧倒的な勝ちっぷりで、センバツ出場を“当確”とした。今年春、夏と甲子園のマウンドに上がったエース・奥川は、自己最速タイの150キロを記録して5安打完封。「北信越で優勝して神宮大会でも優勝することが目標だが、(甲子園出場は)あと2回チャンスがある中、まずは1回目を濃厚にできたので良かった」。3度目の聖地に思いを寄せた。

 U18侍ジャパンを経験した右腕が、堂々の投球を見せた。奥川は「緊張して腕が縮こまってしまった」という初回、直球にタイミングを合わされ、2死一、三塁のピンチに立ったが無失点で切り抜けた。2回以降は140キロ台後半の速球を見せ球に使いながら、チェンジアップやスライダーで緩急をつけ打者を手玉に取った。「みんなの表情や相手の盛り上がりを見ながら、『次のイニングは危ないな』と感じた時に、自分で間を取ることができた。それが完封につながった」。けん制球、野手への声かけ、ボール交換を駆使して、マウンド上で「間」を支配した。

 投手戦にとどめを刺したのが、1年生4番・内山の一発だ。打線は8回2死までわずか3安打と沈黙していたが、ここまで無安打だった内山が左翼席にライナーを突き刺した。「初球は絶対に真っすぐが来ると思った。前の打席で三振していたので、4番の仕事をしたいと思った」。狙い通りの公式戦第2号で、春県大会初戦のデビュー以来、23戦連続安打と結果を出した。

 チームは、たくましく成長している。林和成監督(43)は、奥川ら甲子園経験者が多く残った新チームの発足時を「体重が重く生まれてきた赤ちゃん」と例えていた。そんな“子ども”たちが、県大会からの全8試合無失策で、センバツ出場を確実にした。「県大会では『小学校高学年だな』と言っていたが、ようやく中学生になった。ここから早く大人にならないといけないですね」。順調な発育に、目を細めた。

 センバツ切符は、「通過点」に過ぎない。この秋、チームの目標は、神宮大会での優勝。主将の山瀬慎之助捕手(2年)は「ここを通過点として、全国の舞台(神宮)に進みたい。登山で言えばまだ2、3合目。日本一になるために課題はある」と口元を引き締めた。星稜ナインが、頂上へと続く道を一歩一歩着実に歩んでいる。(勝田 成紀)

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