山梨学院、関東勢でセンバツ一番乗り 楽しんで戦うのびのび野球で前橋育英にリベンジ
◆高校野球 秋季関東大会第3日 ▽準々決勝 山梨学院9―1前橋育英=7回コールド=(22日、山日YBS球場)
準々決勝で山梨学院(山梨2位)が、前橋育英(群馬1位)に9―1で7回コールド勝ちし、5年ぶり3度目のセンバツ出場が決定的になった。来春の第91回センバツ高校野球大会(3月23日から12日間・甲子園)の出場校を決めるための重要な参考資料となる今大会で、ベスト4進出は出場の目安となる。同日に行われた1回戦では、甲府工(山梨3位)が優勝候補の横浜(神奈川1位)に2―8で敗れた。
明るく楽しいエンジョイ野球に生まれ変わった山梨学院が、群馬1位の前橋育英を圧倒し、関東勢でセンバツ切符一番乗りを果たした。
初回。先頭の渡辺嵩馬中堅手(1年)から3連打で先制。浮いた変化球狙いがズバリ的中し、いずれも早いカウントから積極的に打っていった。2番・菅野秀斗二塁手(2年)は4打数4安打4打点の大当たりで「活躍できてなかったので、やっとチームに入り込めた」と笑顔。主砲の野村健太左翼手(2年)は4回1死三塁から右中間へ2戦連発となる高校通算34号2ラン。制球力に定評ある前橋育英の右腕・梶塚を4回途中でKOした。投げては本職が一塁手の主将・相沢利俊(2年)と駒井祐亮投手(2年)で左腕リレー。1回戦の中央学院(千葉1位)戦に続き、投打がガッチリかみ合った。
「高校野球はやっぱり生徒ファーストですよ」。吉田洸二監督(49)は晴れ晴れとした表情で言い切った。清峰(長崎)を率いて春夏合わせて5回の甲子園出場。センバツ優勝1回、準優勝1回の手腕を請われ、13年からチームを率いている。「“プロ”の監督だから『勝たなきゃいけない』『負けられない』と生徒たちを巻き込んでいた」。勝利を追求するあまり、縮こまった野球になってしまっていたと反省したという。中央学院戦の前日。「勝っているイメージでやろう」とナインに向けて語った。「のびのびと野球を楽しんで戦う」という、当時の清峰のようなムードがこの2試合で感じられるようになった。「当時以上のムードですよ。このチームは(秋季県大会V逸で)一度どん底を見てますから」
前橋育英は17年夏の甲子園1回戦で5―12で大敗した因縁の相手。先輩たちの敗戦を応援席で見届けたという野村は「リベンジという形で臨みました」と振り返った。当時の点差を上回る8点差で、のしを付けて返した。
準決勝は春日部共栄(埼玉1位)と横浜(神奈川1位)の勝者と対戦する。「自分たちは強くない。個々で戦っても勝てない」と相沢主将。開花した全員野球で、そのまま関東の頂点へ駆け上がる。(西村 國継)