札幌大谷、国士舘を撃破し4強 阿部―増田、身長差24センチ継投で翻弄

スポーツ報知
2番手で登板し、7回1/3を7安打3失点と力投した札幌大谷・増田

◆第49回明治神宮野球大会 第3日▽高校の部準々決勝 札幌大谷7―3国士舘(11日・神宮)

 初出場の札幌大谷が“デコボコ継投”で東京王者の国士舘を7―3で撃破、4強入りした。先発した196センチ左腕・阿部剣友が1回を1安打無失点に抑えれば、2番手の172センチ右腕・増田(ますた)大貴(共に1年)は7回2/3を7安打3失点と粘投。全道大会では登板機会のなかった身長差24センチのデコボコ1年生コンビが、大一番で仕事を果たした。きょう12日、決勝進出をかけ筑陽学園(九州・福岡)と対戦する。

 「24センチの差」を駆使した札幌大谷が、国士舘打線を惑わせた。先発した196センチ左腕・阿部から、172センチ右腕・増田への1年生リレー。誰もがエース右腕・西原健太(2年)の先発を予想する中、意表を突いた身長差24センチの“デコボコ継投”で強打を封じた船尾隆広監督(47)は「思ってもみなかった。うれしい誤算」と笑った。

 先陣を切ったのは阿部だ。船尾監督が「向こうの打線の目先を変えたい」と、大一番で先発に抜てきした。初回に緊張から制球を乱し2死満塁のピンチを背負うも「腕を振ることだけを考えていた」。196センチからの角度ある直球で詰まらせ無得点に抑えた。阿部はこの回で降板となったが、相手の目線を上げるには十分だった。

 続いた増田は、阿部より24センチ低い身長から緩いカーブと直球を織り交ぜ、8回までわずか3安打1失点。高校では最長となるロングリリーフで、9回に3連打を浴び降板するまで、相手の目線を幻惑した。国士舘の永田昌弘監督(60)も「先発は右投手(西原)だと思っていたのでね…。なぜか打てず、ちぐはぐだった」とお手上げだった。

 投手陣で最も身長が低い増田。同学年で高身長の阿部をうらやんだ時もあったが「直球のキレと制球では負けない」と、自分の長所を磨き上げた。この日、阿部がマウンドに上がると、そのサイズに観客がざわついたことに気付いた。増田は「すごいのは阿部だけじゃない。俺の投球を見てくれと」。左腕が力投した姿に刺激を受け、増田もマウンドで輝きを放った。

 12日には駒大苫小牧が優勝した2005年秋以来、13年ぶりとなる決勝進出をかけ、筑陽学園と対戦する。西原を温存しての勝利に、増田は「全道大会で投げられなかったので、先輩を休ませることができてよかった。次も先輩たちを支えたい」。札幌大谷の“小さな巨人”が、日本一という大きな目標をつかみ取る。(清藤 駿太)

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