星稜・奥川恭伸、2戦14回23K!松井さん以来27年ぶりVに王手

スポーツ報知
星稜の先発・奥川は7回を投げ1失点12奪三振の好投を見せた(カメラ・泉 貫太)

◆第49回明治神宮野球大会第4日 ▽高校の部・準決勝 星稜7―4高松商(12日・神宮)

 高校の部で、星稜(北信越)の150キロ右腕・奥川恭伸(2年)がまたしても快投を見せた。準決勝の高松商(四国)戦で、7回を毎回の12奪三振で4安打1失点(自責0)。7回11Kだった初戦(対広陵)に続く2試合連続2ケタ奪三振で計14回で23Kとし、奪三振率は驚異の14・79となった。チームは24年ぶりの決勝進出。2年生だった松井秀喜氏(元巨人)を擁した91年以来、27年ぶりの優勝を狙う。大学の部は、近大(関西5連盟第1)が12年ぶりの4強入りを決めた。

 面白いように三振を奪った。奥川は制球よくカウントを整え、次々と相手打者を仕留めていった。7回で降板するまで毎回の12奪三振。初戦の7回11Kと合わせ、今大会の奪三振率は14・79に。97年に横浜・松坂大輔(現中日)が記録した1試合最多奪三振「14」を上回るペースで三振を積み重ね、05年に大会最多奪三振記録を作った駒大苫小牧・田中将大(現ヤンキース)の奪三振率14・76もしのぐ。

 決して本調子ではなかった。今大会から決め球として“解禁”したフォークが決まらず「結果的に真っすぐが勝負球になってしまった。三振数は意識せず、バックを信頼して7~8割の力でコースをついた」。それでも勝負どころでは最速149キロの直球で三振を狙うなど、ギアを自在に操った。

 高度な投球術は、高校日本代表で金足農・吉田輝星から“盗んだ”。「吉田さんを見ていて『いいな』と思って、今まで10割の力で投げていたところも力を抜いて投げることを、より意識するようになった」。今秋は石川県大会決勝以降、ここまで50イニングを投げて自責点0(失点3)。公式戦で59回を投げ、防御率0・61、奪三振率12・05、与四死球率0・76と抜群の安定感を誇る。

 視察した中日・中田スカウトディレクターは「カウント球と勝負球のメリハリが利いている。三振を狙ってるわけじゃないんだろうけど、コントロールがいいから簡単に追い込むことができて、結果として三振が増えている」と分析。高松商の長尾健司監督(48)も「まさにプロ向きな子。横綱と平幕、いや幕下という感じでした」と脱帽した。

 5番打者としても3安打4打点と“二刀流”の活躍を見せた奥川は「タイトルを取って、(来春の)センバツに乗り込みたい」と目を輝かせた。松井氏が主将を務めた91年以来27年ぶりの神宮制覇まで、あと1勝だ。(勝田 成紀)

 ◆05年の駒大苫小牧・田中将大 1回戦の清峰戦から登場し、13K2失点完投。続く準々決勝(対高岡商)と準決勝(対早実)はいずれも救援で、それぞれ5回10Kと5回2/313Kで無失点。関西との決勝は11K完封。計28回2/3を投げて、大会新記録となる47三振を奪った。

 ◆奥川 恭伸(おくがわ・やすのぶ)2001年4月16日、石川県かほく市生まれ。17歳。宇ノ気小2年で野球を始め、内野手兼投手。宇ノ気中1年冬から投手に専念し、3年時に全国中学校軟式大会優勝。星稜では1年春の北信越大会で公式戦初登板。2年春夏に甲子園出場。趣味は釣り。将来の夢は「プロ野球選手」。50メートル走は6秒5。遠投は110メートル。183センチ、82キロ。右投右打。家族は両親と兄。

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