日本高野連、新潟の球数制限に待った…春季県大会での実施先送り要望

スポーツ報知

 日本高野連は20日、大阪市内で理事会を開き、昨年12月に新潟県高野連が今年の春季県大会で投手の球数制限を実施することについて、再考を申し入れることを決めた。先送りを要望したものの強制力はないため、新潟県高野連の決定次第で再検討するという。

 球数制限は喫緊の課題であることから、日本高野連はスポーツ整形外科医や元高校野球監督らによる外部の専門家約10人を交えた「投手の障害予防に関する有識者会議」を4月に発足させ、約1年後に答申をもらう予定。新潟県高野連には同会議への参画を依頼した。加盟校へのアンケート実施も検討する。

 新潟県高野連は故障予防や選手の出場機会増などを目的に、投球数が100球に達した投手はそれ以降の回は投球できないルールの導入を表明。この日の理事会で趣旨や方向性には賛意を示されたが、特例で認める意見はなかった。また、球数制限を導入したいという高野連は他になかった。

 理事会の決定を伝え聞いた新潟県高野連の富樫信浩会長は「まだ文書を受け取っていないので具体的なコメントはできないが、(球数制限は)県で機関決定しているので、何らかの形で検討をして(日本高野連に)回答したい」と話した。

 現状は部員不足の連合チームが増加し、部員数20人以下の加盟校が全体の約4分の1を占める。部員の少ないチームが不利になることも考えられ、竹中事務局長は「大会や試合途中で棄権するような学校が出てくる可能性がある。そういったことに目を向けないといけない」と力説。「球数制限を公式戦だけに絞っていいのか。練習試合や毎日の練習でも投手を酷使する。連投の方がもっと悪いという意見もある」と続けた。勝敗を及ぼす規則については全国で足並みをそろえて検討するべき、という意見も出た。(伊井 亮一)

 ◆大地長官、有識者会議は「前進」

 スポーツ庁の鈴木大地長官は、日本高野連が投手の球数制限を検討する有識者会議の設置を決めたことに「半歩、一歩前進したという気がする。高校生が故障して投げられなくなる状況をつくらないよう、話し合いを続けてほしい」と歓迎する意向を示した。今春の県大会での球数制限導入を目指していた新潟県高野連に再考を求めるとした決定については「独自の取り組みということでいいのではないか」と疑問を呈した。

 日本ハム・斎藤佑樹投手(早実のエースとして、2006年夏の甲子園大会で948球を投じて優勝)「議論されるのはいいこと。世の流れに左右されるのではなく、高野連のかじ取りに期待している」

 横浜高・渡辺元智前監督「球数制限を導入するのであれば、足並みをそろえるべきだし、科学的な裏付けも必要。今回の日本高野連の判断は、まさにその通りだと思う。若い世代の野球人口を増やすためにも、どのような手法があるのかを含めて、幅広い議論をしてほしい」

 ドジャース・前田健太投手「高校生は自分では(球数を)制限できない。大人が制限を設けてあげるということは大事なことだと思う」

 カブス・ダルビッシュ有投手「何でも挑戦した方が絶対にいい。新しいことを取り入れないと、球界自体も活性化していかない」

 ◆新潟県高野連の球数制限実施に関する経過

 ▼18年12月22日 新潟県高野連が、19年の春季県大会限定で投手の球数制限を導入することを表明。

 ▼19年1月7日 日本高野連が、新潟県高野連の杵鞭義孝専務理事から経緯などを聴取。

 ▼同9日 日本高野連の業務運営委員会の中で「特例導入」に否定的な意見が複数出る。

 ▼1月25日 DeNA・筒香が日本外国特派員協会での会見で、球数制限に賛同。

 ▼2月4日 スポーツ庁の鈴木大地長官が投球回数、球数に一定の制限を設けることが望ましいと言及。

 ▼同20日 日本高野連の理事会で新潟県高野連に再考を要望。「投手の障害予防に関する有識者会議」を4月に発足させることを決定。

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