イチロー、事実上の引退 マリナーズ特別アドバイザー就任…球団と異例契約

スポーツ報知
マリナーズのイチロー

 メジャー通算3089安打を放ったマリナーズのイチロー外野手(44)が球団の特別アドバイザーに就任し、選手としては今季の残り試合に出場しないことが3日、複数の球団関係者の話で分かった。ベンチ入りの25人枠から外れるが、球団と生涯契約を結んでチームに同行し、練習しながら選手らをサポートする。来季以降は試合出場も可能という。米国時間3日(日本時間4日)に発表されるが、復帰の道のりは容易ではない。

 イチローが戻る日は来るのか―。関係者によると、今回の契約はメジャーでも極めて異例の内容だ。本人は従来50歳まで現役続行を公言するなどプレーをする意欲は高く、来季以降にマリナーズの一員として故障者が出た場合などに選手としてプレーする可能性があるという。この契約を結ぶことで日本球界に戻る可能性はなくなった。

 昨季限りでマーリンズからフリーエージェント(FA)となり、2012年途中まで在籍したマリナーズに6年ぶりに復帰。メジャー現役最年長野手で、今季は控え外野手としてチームの29試合のうち15試合に出場。先発出場したのは13試合で、9安打、打率2割5厘にとどまった。2日の試合が今季最後になるため、4日(日本時間5日)から本拠地シアトルでエンゼルス3連戦を予定しているが、大谷との対戦もなくなった。

 当初は故障したレギュラー選手の代役として白羽の矢を立てられた。キャンプ途中での合流や右ふくらはぎ故障、実戦での調整不足などが影響し、数字上は振るわない。しかし、豊富な経験やムードメーカー的な言動で若いチームメートらを支え、ここまで17勝12敗とチームの好スタートに貢献。首脳陣や選手間での存在感はフロント陣の期待以上だという。かつての球団の象徴、将来の米国野球殿堂入りが確実な功労者という意味もあわせ、生涯マリナーズの一員として働いてほしいという声が球団内で強まっていたため、半永久的にマ軍に残ることになったようだ。

 本人も3月の入団記者会見で「それまで当たり前のようにあったものが全くそうでない、特別なものだった」と話したように、マ軍と本拠地シアトルへの強い思い入れがある。「今、マリナーズが必要としていること、僕がそこに力になれるのであれば何でもやりたい」とも話していた。

 チーム再建のためイチローがひと肌脱ぐことになるが、今季は試合に出場できないことで、今後の現役生活にはマイナスだろう。来年3月にはマリナーズ―アスレチックスの開幕2連戦が東京Dで行われる。レジェンドの雄姿を目撃したいファンが大挙するのは間違いないが、“現役復帰”への道のりは、そう簡単ではないだろう。

 ◆イチロー(本名・鈴木一朗=すずき・いちろう)1973年10月22日、愛知県生まれ。44歳。愛工大名電高から92年にオリックス入りし、94年にプロ野球初のシーズン200安打。マリナーズ1年目の2001年に242安打を放って首位打者と盗塁王を獲得し、MVPと新人王に輝いた。04年は262安打で大リーグのシーズン最多安打記録を更新した。12年7月にヤンキースに移籍し、13年8月に日米通算4000安打を達成。15年にマーリンズへ移り、16年8月にメジャー通算3000安打に到達。今年3月にマリナーズに復帰した。180センチ、79キロ、右投左打。

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