【ヒルマニア】大谷よ…手術回避で本塁打王挑戦の道を
「ヒルマニア」は、スポーツ報知でメジャーリーグを担当し続けて40年の蛭間豊章記者が、マニアックなメジャーネタをお送りします。
新たな右肘靱帯(じんたい)の損傷が見つかった大谷。復帰まで1年以上かかるトミー・ジョン手術を受けるかどうか、球団フロント、首脳陣などは、大谷本人の意思に委ねることにしたもようだ。
球団からのゴーサインで復帰登板となった2日のアストロズ戦前日は「実戦の中で見つかることもたくさんある」、野手戦列復帰2試合目だった7月4日マリナーズ戦では「(試合に)出られないより出られた方がうれしい」と話すなど、プレーすることを一番に考えている選手だ。
この日の2本塁打で本塁打1本当たりの本塁打率は13・7に跳ね上がった。ア・リーグ本塁打ベスト5の本塁打率を出すと
〈1〉40デービス 12・5
〈2〉39マルティネス13・0
〈3〉37ラミレス 13・5
〈4〉34ガロ 13・1
〈5〉33クルーズ 13・3
〈5〉33スタントン 16・4
とほとんど遜色ない。もし、スタントンと同じ540打数だったら現在、39本塁打で2位につけていることになる。
大谷以前でただ一人10先発&50投球回で2ケタ本塁打をマークした1918、19年のベーブ・ルースは、翌20年ヤンキースに移籍すると外野手に専念しマウンドに上がったのはわずか1試合。移籍初年度に当時の新記録である54本塁打を放つと、翌年は59本、1927年には60本の大台に乗せるなど本塁打バッターとしてメジャーリーグ最高のスーパースターとなった。
大谷が投手に未練があるのならともかく、今回の損傷も、この日のようにDHとして打ち走ることは可能なことを証明。DHだけでなく、日本ハム時代に守った外野手や一塁手に入ってもいい。そして、松井秀喜ができなかったメジャーでの本塁打王挑戦というシナリオを私は夢に描いている。ルースが野手専念したのが25歳シーズンで、大谷は来年、その年齢になる。これも何かの縁ではないか。(ベースボール・アナリスト)